研究課題/領域番号 |
17K19532
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
鈴木 歩 埼玉医科大学, 医学部, 助教 (80639708)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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キーワード | Max / 体細胞 / 生殖細胞 / 減数分裂 |
研究実績の概要 |
減数分裂は生殖細胞のみでおこる現象であり、決して体細胞分裂では起きないと考えられてきた。ところが生殖細胞ではないES細胞でMax遺伝子をノックアウトすると減数分裂に関連した多数の遺伝子が発現し、減数分裂様の細胞が生じた(Suzuki, Nature Communications 2016)。これは生殖細胞以外の細胞では減数分裂対する抑制機構が存在することを示唆する。そこで本研究課題では、今までの研究結果を踏まえ、1つには、まず、体細胞では減数分裂は起きないという固定概念を捨て、マウスでMaxを全身でノックアウトすることにより、ES細胞のように、異所的に減数分裂を惹起することができる潜在能力を持った生体における細胞について、網羅的にスクリーニングすることにした。 これまでに全身でCreERT2を恒常的に発現するマウスを導入し、タモキシフェン投与によって全身でMax遺伝子をコンディショナルにノックアウトできるマウスを作成した。現在タモキシフェンによる投与により、確かに全身でCreERT2が活性化し、loxpに挟まれたDNA領域が欠失することを確認した。マウスで全身でMaxをノックアウトすべくタモキシフェンを投与すると、胎児は致死になってしまうため、タモシフェンの濃度や、投与してから回収するタイミング等の条件を検討した。全身でEGFPを発現し、Cre依存的にEGFPの発現が消失するマウスと掛け合わせたところ、全身でモザイク状にEGFPの発現が認められることを確認した。現在Max cKO/CreERT2マウスと減数分裂マーカーであるStra8の下流にEGFPを有するマウスと現在掛け合わせ、減数分裂が開始した場合EGFPにより確認することが可能なマウスを作成中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
Maxを全身でノックアウトするために、タモキシフェン投与によりMaxをノックアウトできるマウスを作成することに時間がかかってしまった。また想定の範囲内であったが、やはり胎児期にMax遺伝子をノックアウトすると致死になることがわかったためES細胞と同じタイムスケールではembryoの回収が困難であった。今後はMaxをノックアウトしてから継時的にembryoを回収するほか、一度試験管内に移してから解析することを検討する。また今後Maxノックアウトにより減数分裂様の変化が起きた場合EGFPにより確認ができるようにStra8-EGFPマウスと掛け合わせる。
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今後の研究の推進方策 |
ES細胞と同様に減数分裂を開始する潜在能力をもった細胞を網羅的にスクリーニングするために、MaxをノックアウトしてStra8遺伝子が発現上昇した場合EGFPで細胞が光る様に設計したマウスを作成する。また現在Max cKO/Tg-CreERT2マウスは作成済みであり、すでにタモシフェン投与によってMaxは全身でノックアウトすることが可能なので、順次トランスクリプトーム解析を進める。全身でMaxがノックアウトしたembryoの回収が細胞死等により困難な場合は、試験管内に移して、in vitroで解析を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究計画の肝であえる、全身でMaxが全身でノックアウトされるマウスを作成するのに時間がかかったため、それに伴い予定していた次世代シーケンサーやSingle cell RNA-seqなどの解析等に対してかかる費用を次年度へと繰越した。
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