研究課題/領域番号 |
17K19535
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研究機関 | 国立研究開発法人国立成育医療研究センター |
研究代表者 |
秦 健一郎 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 周産期病態研究部, 部長 (60360335)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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キーワード | エピゲノム / ゲノム / 流産 / 発生異常 |
研究実績の概要 |
本研究は、原因不明の流産や胎児発育不全症例のエピゲノム解析とゲノム解析を行い、未知の分子病態を解明することを目的とする。ゲノム全体に複数のエピゲノム異常を有する症例(エピゲノム脆弱性を呈する症例)は、エピゲノムが乱れやすい素因を有していると予想され、それらの症例でレトロトランスポゾンの活性化とde novo 挿入が起こり、ゲノム異常が惹起される可能性を検証する。ヒストン修飾やDNA メチル化等のエピジェネティックな修飾(エピゲノム)は、生殖・発生に必須の情報である。すでに様々なマウスモデルや、胎児発育不全を伴う一部の先天奇形症候群などで、エピゲノム異常がこれらの病因となることが証明されている。一方で、実際のヒト不妊症や不育症で、エピゲノム異常が証明された例は限られている。その理由として、「エピゲノムの多様性」が挙げられる。ゲノムの多様性はよく知られており、流産検体の高解像度な遺伝学的解析を行うと、膨大な病的意義不明の多型、いわゆるVariant of Uncertain Significance(VUS)が同定され、その中に仮に真の病因があったとしても確定診断に至らないことが多い。同様に、生殖・発生異常の検体をエピゲノム解析しても、多数の候補多型が見つかり、病因エピゲノム変異に辿り着くのは難しい。そこで本研究では、従来の疾患責任エピゲノム変異を探索する異常スクリーニングと異なり、我々の開発したエピゲノム異常の外れ値頻度を検出するという全く異なる戦略でエピゲノム異常スクリーニングを行う。本年度は、一塩基多型情報を利用した染色体構造解析と、バイサルファイト変換後にメチル化シトシンと非メチル化シトシン間で生じる一塩基多型を利用したDNAメチル化定量法を用い、染色体構造異常を持たず(ジェネティックな異常を持たず)にエピジェネティックな異常を有する症例のスクリーニングを行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は、一塩基多型情報を利用した染色体構造解析を行った。数十kbの解像度でコピー数多型を検出できる同解析系では、病的意義不明なコピー数多型が多数同定されるので、我々が独自に解析して論文発表した「妊娠分娩歴および出生児に特段の異常を認めなかった日本人女性のコピー数多型参照情報」と比較し、病的意義のない多型情報を効率的に除去した。また、DNAメチル化変化のスクリーニングを行なった。確立された解析手法(バイサルファイト変換後にメチル化シトシンと非メチル化シトシン間で生じる一塩基多型を検出する手法)でハイスループット解析を行い、こちらでもこれまで我々が行ってきたインハウスDNAメチル化スクリーニングデータ(明らかなエピゲノム異常を原因としない疾患解析データを含む)を参照した。手技上の問題はなく、予定数の解析を終了した。
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今後の研究の推進方策 |
原因不明の発生異常症例から得た生体試料(胎盤、臍帯血、臍帯、末梢血等)から抽出したゲノムDNA を用い、DNA メチル化状態のスクリーニングを行う。スクリーニングにはエピタイパー(バイサルファイト処理によって生じる非メチル化シトシンの多型を、質量分析器で解析する手法)あるいは、DNA メチル化アレイ(バイサルファイト処理によって生じる非メチル化シトシンの多型を、SNPアレイを用いて網羅的に検出する手法)を組み合わせ、効率的に行う。生殖・発生の重篤な異常を呈する症例(次世代を生み育てることが困難な集団)では、仮にエピゲノムあるいはゲノムの病因変異が存在すれば、大部分はランダムに起こったde novo 変異であると推測される。また、ゲノムと同様にエピゲノムにも多様性が存在するため、通常の解析では膨大な数の病的意義不明エピゲノム変異候補が見つかり、解析に苦慮する。そこで、すでに論文発表済みの独自データ(正常分娩歴を有する集団のゲノム・エピゲノム情報)を利用し、エピゲノム異常とゲノム異常を同定する。さらに今後は、反復配列やレトロトランスポゾンのDNA メチル化状態を評価し、これらのde novo 挿入によるゲノム変異同定法の検証を進める。これらの領域のDNA メチル化スクリーニングには、バイサルファイト処理後に次世代シークエンサーを用いたショットガンシークエンスを行う手法(バイサルファイトショットガンシークエンス法)を用いる。レトロトランスポゾンや反復配列はコピー数が多いので、通常のゲノム・エピゲノム解析より少ない情報量でDNAメチル化状態の定量が可能と期待される。これらのスクリーニングで同定した有力な候補症例は、全ゲノムシークエンスを行い、構造変異の有無を検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
【次年度使用額が生じた理由と使用計画】当該助成金が生じた状況、及び、翌年度分として請求した助成金と合わせた使用計画について簡潔に入力してください。【次年度使用額が生じた理由と使用計画】当該助成金が生じた状況、及び、翌年度分として請求した助成金と合わせた使用計画について簡潔に入力してください。【次年度使用額が生じた理由と使用計画】当該助成金が生じた状況、及び、翌年度分として請求した助成金と合わせた使用計画について簡潔に入力してください。【次年度使用額が生じた理由と使用計画】当該助成金が生じた状況、及び、翌年度分として請求した助成金と合わせた使用計画について簡潔に入力してください。【次年度使用額が生じた理由と使用計画】当該助成金が生じた状況、及び、翌年度分として請求した助成金と合わせた使用計画について簡潔に入力してください。【次年度使用額が生じた理由と使用計画】当該助成金が生じた状況、及び、翌年度分として請求した助成金と合わせた使用計画について簡潔に入力してください。【次年度使用額が生じた理由と使用計画】当該助成金が生じた状況、及び、翌年度分として請求した助成金と合わせた使用計画について簡潔に入力してください。【次年度使用額が生じた理由と使用計画】当該助成金が生じた状況、及び、翌年度分として請求した助成金と合わせた使用計画について簡潔に入力してください。
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