トキソプラズマは様々な精神疾患や神経疾患の発症リスクになることが推測されている。実験マウスを用いた我々の先行研究では、感染により記憶能力の減少が確認されている。そこで本研究では、記憶形成に重要な遺伝子Arcに着目し、トキソプラズマ感染による記憶改変メカニズムの解明を目的とした。Arc発現レベルを上昇させる原虫遺伝子を見出し、NFκBシグナルを活性化することを明らかにした。NFκBシグナルに必須なToll様受容体2に着目しマウスの行動測定試験を実施したところ、TLR2の欠損による恐怖記憶の異常(亢進)が認められた。本研究により、脳機能を改変する原虫因子の存在が示唆された。
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