ノーベル賞受賞者であるプルシナー博士が提唱したプリオン説は、世界中の研究者のコンセンサスを得て定着しているが、一部には未だにプリオン説で説明し難い現象が存在する。例えば、特定の凝集プリオン蛋白でのみ伝播性・病原性が観察され、伝播性・病原性が観察されない凝集プリオン蛋白が大半である。また、異常型プリオン蛋白の存在を実証できないプリオン病が存在する。今回、申請者の発見を展開した本研究の成果である「プリオンの伝播と病原性は分離できる」は、プリオン病の病因論に新局面をもたらすことが期待される。また、この成果はアルファ・シヌクレイノパチーなどプリオン病類縁疾患の病因論にも影響を与える可能性がある。
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