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2018 年度 実施状況報告書

糖鎖を標的とした制御性T細胞動態制御法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 17K19542
研究機関千葉大学

研究代表者

川島 博人  千葉大学, 大学院薬学研究院, 教授 (50260336)

研究期間 (年度) 2017-06-30 – 2020-03-31
キーワード制御性T細胞 / リンパ球ホーミング / アレルギー性疾患 / 抗糖鎖抗体 / L-セレクチン
研究実績の概要

制御性T細胞は免疫制御の鍵となる細胞であり、その体内動態を人為的に制御することができれば、アレルギー疾患等の免疫関連疾患の有効な治療法の確立につながることが期待される。本研究では、独自に開発した新規抗糖鎖モノクローナル抗体および糖鎖合成酵素欠損マウスを用いて、制御性T細胞の糖鎖および糖鎖結合分子の発現と体内動態機構を解明するとともに、制御性T細胞の体内動態の人為的制御に基づくアレルギー性疾患の新規治療法の開発を行うことを目的とする。本研究により、制御性T細胞の体内動態制御に基づく新しいアレルギー疾患治療実現のための分子基盤が確立することが期待される。本年度は、制御性T細胞の体内動態を抗糖鎖モノクローナル抗体によって人為的に制御可能か検討を行った。具体的には、C57BL/6マウスに独自に開発した抗糖鎖モノクローナル抗体を尾静注したのちに、蛍光標識したリンパ球を尾静注し、2時間後に鼻咽頭関連リンパ組織(NALT)を採取した。採取したNALTからリンパ球を調製し、ホーミングした蛍光標識リンパ球をフローサイトメトリーで検出することにより、NALTへのリンパ球ホーミングにおける糖鎖の機能を解析した。また、抗糖鎖モノクローナル抗体の尾静注後、2日目のNALTにおける通常型T細胞と制御性T細胞の割合をフローサイトメトリーにより解析した。その結果、ある種の抗糖鎖モノクローナル抗体は、通常型リンパ球のNALTへのホーミングを有意に抑制したが、制御性T細胞のNALTへのホーミングには影響せず、制御性T細胞のNALTへの蓄積を誘導することを見出した。この結果は、制御性T細胞の体内動態の人為的制御に基づくアレルギー性疾患治療法の開発に繋がる基礎的な知見として重要と考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

独自開発した抗糖鎖モノクローナル抗体により制御性T細胞の動態制御を達成することができたため。

今後の研究の推進方策

抗糖鎖モノクローナル抗体による制御性T細胞の体内動態制御機構を解析するとともに、マウスアレルギー疾患モデルを用いて、制御性T細胞の体内動態の人為的制御に基づくアレルギーの発症抑制の検討を行う。

次年度使用額が生じた理由

どのような糖鎖構造を認識する抗糖鎖モノクローナル抗体が、より効率良く制御性T細胞の体内動態を制御するかを詳細に解析するために、追加実験が必要となったため、H30年度に執行せず、H31年度経費と合算して使用することとした。

  • 研究成果

    (20件)

すべて 2019 2018 その他

すべて 雑誌論文 (3件) 学会発表 (15件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件) 図書 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Chaperone-mediated secretion switching from early to middle substrates in the type III secretion system encoded by Salmonella pathogenicity island 22019

    • 著者名/発表者名
      Takaya Akiko、Takeda Hikari、Tashiro Shogo、Kawashima Hiroto、Yamamoto Tomoko
    • 雑誌名

      Journal of Biological Chemistry

      巻: 294 ページ: 3783~3793

    • DOI

      10.1074/jbc.RA118.005072

  • [雑誌論文] Forced Expression of CXCL10 Prevents Liver Metastasis of Colon Carcinoma Cells by the Recruitment of Natural Killer Cells2019

    • 著者名/発表者名
      Kikuchi Norihito、Ye Jiabin、Hirakawa Jotaro、Kawashima Hiroto
    • 雑誌名

      Biological and Pharmaceutical Bulletin

      巻: 42 ページ: 57~65

    • DOI

      10.1248/bpb.b18-00538

  • [雑誌論文] 新規抗糖鎖モノクローナル抗体を用いたリンパ球体内動態の解析2018

    • 著者名/発表者名
      平川城太朗、川島博人
    • 雑誌名

      生化学

      巻: 90 ページ: 231-134

  • [学会発表] 抗糖鎖抗体S1を用いた中枢神経系における硫酸化糖鎖の発現解析2019

    • 著者名/発表者名
      山﨑郁弥、泉水友洋、岩﨑藍花、大八木真浩、神谷映里、平川城太朗、川島博人
    • 学会等名
      日本薬学会第139年会
  • [学会発表] 気管支喘息モデルにおける抗シリアルルイスX糖鎖抗体の治療効果の検討2019

    • 著者名/発表者名
      熊偉、劉偉、松岡美紗、平川城太朗、川島博人
    • 学会等名
      日本薬学会第139年会
  • [学会発表] ケモカインCXCL10の過剰発現によるNK細胞浸潤の誘導と大腸がん細胞の肝転移の抑制2019

    • 著者名/発表者名
      菊池紀仁、叶家斌、平川城太朗、川島博人
    • 学会等名
      日本薬学会第139年会
  • [学会発表] Anti-sulfated-glycan monoclonal antibody S2 inhibits lymphocyte recruitment to nasal-associated lymphoid tissues and attenuates allergic rhinitis.2018

    • 著者名/発表者名
      Hirakawa J and Kawashima H
    • 学会等名
      AAI Annual Meeting (IMMUNOLOGY 2018)
    • 国際学会
  • [学会発表] 乳癌における高内皮細静脈の発現状況について2018

    • 著者名/発表者名
      中井克也、堀本義哉、荒川敦、齊藤光江、川島博人、入村達郎
    • 学会等名
      第26回日本乳癌学会
  • [学会発表] 糖鎖分子を標的とした新規アレルギー疾患治療抗体の開発2018

    • 著者名/発表者名
      平川城太朗、川島博人
    • 学会等名
      第19回Pharmaco-Hematology symposium
  • [学会発表] 抗糖鎖抗体S1を用いた中枢神経系における硫酸化糖鎖の発現解析2018

    • 著者名/発表者名
      山崎郁弥、泉水友洋、岩崎藍花、大八木真浩、神谷映里、平川城太朗、川島博人
    • 学会等名
      第37回 日本糖質学会年会
  • [学会発表] 糖と免疫2018

    • 著者名/発表者名
      川島博人
    • 学会等名
      TIAナノバイオサマースクール
    • 招待講演
  • [学会発表] 抗糖鎖抗体S1を用いた中枢神経系における硫酸化糖鎖の発現解析2018

    • 著者名/発表者名
      山崎郁弥、泉水友洋、岩崎藍花、大八木真浩、神谷映里、平川城太朗、川島博人
    • 学会等名
      第91 回日本生化学会大会
  • [学会発表] 新規抗糖鎖モノクローナル抗体F2を用いた気管支喘息モデルの治療効果の検討2018

    • 著者名/発表者名
      熊偉、劉偉、松岡美紗、平川城太朗、川島博人
    • 学会等名
      第62回日本薬学会関東支部大会
  • [学会発表] ケモカインCXCL10による大腸がん細胞の肝転移の抑制2018

    • 著者名/発表者名
      菊池紀仁、葉家斌、平川城太朗、川島博人
    • 学会等名
      第62回日本薬学会関東支部大会
  • [学会発表] L-セレクチンのリガンド糖鎖を標的とする抗糖鎖抗体の開発と医療応用への可能性2018

    • 著者名/発表者名
      川島博人
    • 学会等名
      第91回日本生化学会大会
    • 招待講演
  • [学会発表] HEVにおける硫酸化ガラクトースを含む糖鎖の発現解析2018

    • 著者名/発表者名
      関根成隆、竹添智宏、西田匠吾、平川城太朗、川島博人
    • 学会等名
      グローバルプロミネント研究基幹シンポジウム
  • [学会発表] 気管支喘息モデルにおける抗シアリルルイスX糖鎖抗体の治療効果の検討2018

    • 著者名/発表者名
      熊偉、劉偉、松岡美紗、平川城太朗、川島博人
    • 学会等名
      グローバルプロミネント研究基幹シンポジウム
  • [学会発表] 抗糖鎖抗体S1を用いた中枢神経系における硫酸化糖鎖の発現解析2018

    • 著者名/発表者名
      山崎郁弥、泉水友洋、岩崎藍花、大八木真浩、神谷映里、平川城太朗、川島博人
    • 学会等名
      グローバルプロミネント研究基幹シンポジウム
  • [図書] 未来を創るグライコサイエンス-我が国のロードマップ-2018

    • 著者名/発表者名
      谷口直之、遠藤玉夫 他(編集)、川島博人 他(分担執筆)
    • 総ページ数
      334
    • 出版者
      日本糖質科学コンソーシアム
  • [備考] 千葉大学大学院薬学研究院 免疫微生物学研究室

    • URL

      http://www.p.chiba-u.jp/lab/bisei/index.html

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公開日: 2019-12-27  

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