研究課題
制御性T細胞は免疫制御の鍵となる細胞であり、その体内動態を人為的に制御することができれば、アレルギー疾患等の免疫関連疾患の有効な治療法の確立につながることが期待される。本研究では、独自に開発した新規抗糖鎖モノクローナル抗体および糖鎖合成酵素欠損マウスを用いて、制御性T細胞の糖鎖および糖鎖結合分子の発現と体内動態機構を解明するとともに、制御性T細胞の体内動態の人為的制御に基づくアレルギー性疾患の新規治療法の開発を行うことを目的とする。本研究により、制御性T細胞の体内動態制御に基づく新しいアレルギー疾患治療実現のための分子基盤が確立することが期待される。昨年度に引き続き本年度は、制御性T細胞の体内動態を抗糖鎖モノクローナル抗体によって人為的に制御可能かを再検討した。具体的には、C57BL/6マウスに独自に開発した抗糖鎖モノクローナル抗体を尾静注したのちに、蛍光標識したリンパ球を尾静注し、一定時間後に各種二次リンパ組織を採取した。採取した二次リンパ組織からリンパ球を調製し、ホーミングした蛍光標識リンパ球をフローサイトメトリーで検出することにより、各組織へのリンパ球ホーミングにおける糖鎖の機能を解析した。その結果、鼻咽頭関連リンパ組織(NALT)へのリンパ球ホーミングに関与する特定の糖鎖構造が明らかとなった。次に、C57BL/6マウスに抗糖鎖モノクローナル抗体の尾静注後、2日目のNALTにおける各種リンパ球サブセットの割合をフローサイトメトリーにより解析した。その結果、ある種の抗糖鎖モノクローナル抗体が、制御性T細胞のNALTへの選択的な蓄積を誘導することを確認することができた。この結果は、制御性T細胞の体内動態の人為的制御に基づくアレルギー性疾患治療法の開発に繋がる知見として重要と考えられる。
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J. Histochem. Cytochem.
巻: 67 ページ: 759-770
doi: 10.1369/0022155419860134.
http://www.p.chiba-u.jp/lab/bisei/index.html