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2017 年度 実施状況報告書

皮膚細菌叢による病原細菌ゲノム進化時の「進化的リスクマネージメント戦術」制御法

研究課題

研究課題/領域番号 17K19544
研究機関千葉大学

研究代表者

松岡 悠美  千葉大学, 大学院医学研究院, 講師 (10402067)

研究期間 (年度) 2017-06-30 – 2019-03-31
キーワード皮膚細菌叢 / 細菌ゲノム / トランスクリプトーム
研究実績の概要

現在、常在細菌叢解析法は広く疾患の病態解明のため用いられ、細菌叢に限らず、真菌叢、ウイルス叢を内包した微生物叢解析を行うことが先端研究として注目されている。われわれ宿主を構成する細胞数を遥かに凌駕する数のこれらの共生体は“第2の指紋”と称されるほどユニークな多様性と保存性を兼ね備えている。しかしながら、常在細菌叢解析をベースにした疾患病態の解明がその多様性を切り口にした解析法であると捉えると、その保存性を解析する方法はこれまでに確立されていない。ヒトにおける“指紋”の保存性を決定しているのがヒトゲノムであるように、細菌の“指紋”を決定しているのは細菌ゲノムである。そこで、細菌叢保存性を決定している細菌ゲノムの皮膚定着に関係する規定因子と、細菌叢および宿主との相互関係を明らかにすることで、従来の常在細菌叢解析とは異なる、多様性および保存性の両側面からの革新的な解析手法を確立する。本年度は、まずマウスモデルを用いて皮膚上に感染させた黄色ブドウ球菌ゲノムに変異が誘導されるのかどうか、また、皮膚上で遺伝子発現プロファイルに変化が起こるかどうかを確認した。これまでに、ブドウ球菌ゲノム上の大きな変異は確認されていないが、RNA発現パターンには皮膚上での棲息後に一定の変化が誘導されていることが明らかとなった。また、皮膚サンプルからのトランスクリプトーム解析のため、菌由来RNA抽出を皮膚スワブから行った。検討の結果、得られるRNA量が微量のため、aRNAを作成しシークエンスを行う必要があると考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

マウスモデルにおける皮膚での棲息後の細菌ゲノム比較解析、RNA発現パターンのin vitroでの解析は概ね順調に進行している。一方、マウス皮膚スワブサンプルのトランスクリプトーム解析は、予想よりもRNAの収量が低いことが明らかになるなど、次の研究ステップへの条件検討に時間を要したため、やや遅れていると評価した。

今後の研究の推進方策

引き続き、マウスモデルにおける病原微生物ゲノムの変化と細菌叢の相互作用を解析する。特に、採取時系列でゲノム変化をより詳細に解析し、RNA発現パターンに影響している遺伝子領域やファージの感染様式などを検討する。トランスクリプトーム解析はaRNAを作成し解析を引き続き行っていく。

次年度使用額が生じた理由

皮膚トランスクリプトーム解析に条件検討が必要となり、この部分でやや研究の進捗に遅れが生じたため、RNAシークエンスにかかる試薬などを用いる実験に遅れが生じた。このため、この額が次年度使用相当額となった。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2017

すべて 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] Cutaneous acquisition of Staphylococcus-sensing agr mutations protects against atopic dermatitis2017

    • 著者名/発表者名
      Nakamura Y, Takahashi H, Takaya A, Inoue Y, Katayama Y, Kusuya Y, Oguma R, Yamade F, Shimojo N, Nunez G, Matsue H
    • 学会等名
      International Eczema Council at SID meeting
    • 国際学会
  • [学会発表] Protection against atopic dermatitis through acquisition of Staphylococcus quorum-sensing agr mutations in the skin2017

    • 著者名/発表者名
      Nakamura Y, Takahashi H, Takaya A, Inoue Y, Katayama Y, Kusuya Y, Oguma R, Yamaide F, Shimojo N, Nunez G, Matsue H
    • 学会等名
      第42回日本研究皮膚科学会

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公開日: 2018-12-17  

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