細菌叢保存性を決定している細菌ゲノムの皮膚定着に関係する規定因子と、細菌叢および宿主との相互関係を明らかにすることで、従来の常在細菌叢解析とは異なる、多様性および保存性の両側面からの革新的な解析手法を確立する。乳児期に皮膚細菌叢が獲得される過程で、常在細菌叢によるS. aureus遺伝子進化制御のメカニズムを明らかにする。そのため、正常皮膚からのS. aureus排除機構に焦点を当て、マウスモデルを用いて常在細菌叢解析、メタトランスクリプトーム解析とS. aureusのゲノム修飾パターンの解析を行う。これらのデータを統合し、細菌叢保存性を決定している細菌叢側もしくは宿主側因子を明らかにする。本研究ではS. aureus感染マウスモデルを用いてメタトランスクリプトーム解析、常在細菌叢解析、S. aureus側の遺伝子変異を検討し、S. lentusのいくつかの菌株が、S. aureusの皮膚からの排除に関係している可能性があるという結果が得られた。また、排除過程で、S. aureusゲノムのクオラムセンシングを司る領域に機能喪失性の変異が獲得されていることが明らかとなった。
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