アトピー性皮膚炎は、先進国で小児の罹患率は15-20%にも達する。一方、途上国ではほとんど認められないという疾患特性から、皮膚バリア機能異常、アレルギー素因などの遺伝的要素に加え、古くからの衛生仮説に代表される環境要因が大きな役割を果たしていると考えられている疾患である。環境要因のひとつとして皮膚常在細菌と病原細菌であるS. aureusの関与が近年注目されている。S. aureusは通常健常人の皮膚で増殖して病原性を発揮することはなく、このメカニズムを解析することで、アトピー性皮膚炎の病態を解明し、新規治療ターゲットの基盤を創出できる可能性があると考えている。
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