研究課題
本研究では、胃粘膜病原細菌Helicobacter pylori (ピロリ菌)の細胞外膜小胞 (Outer membrane vesicles, OMV) への選択的sRNA導入を司る菌体ガイド分子 の同定を目指した。平成30年度は、前年度の研究で同定した、OMVに多量に存在するsRNA-Xに結合するRNAやタンパク質の同定を試みた。MS2 aptamerが結合する標的sRNA-Xをin vitro translation法により作製した。in vitroにてピロリ菌菌体溶解液と混合したのちに、MS2 aptamerとMS2 coat proteinのアフィニティを利用したMS2 coat protein結合maltose binding proteinを用いたビーズによるプルダウンアッセイに供し、SDS-PAGEにて展開後、sRNA-Xに特異的に結合するタンパク質バンドを確認した。LC-MS/MS解析の結果、MS2 aptamer 結合sRNA-Xに特異的に結合する、ガイド分子候補タンパク質-Yを同定した。さらに、作製したsRNA欠損変異株等のRNA-seq解析およびiTRAQ解析を行い、sRNAが特異的に結合して発現を制御する可能性のあるmRNAを同定した。同定したガイド分子候補タンパク質-Yの欠損変異株作製を試みたが、欠損ピロリ菌は生育しないために欠損変異株を得ることができなかった。以上の結果から、OMVに存在量の多いsRNA-Xに特異的に結合するタンパク質-Yは、菌体の生存に必須のタンパク質である可能性が考えられた。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)
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