研究課題
抗原特異的なT細胞の記憶獲得・維持が、感染症に対する長期的なワクチン効果に重要である。一方、自己抗原に特異的な自己免疫性T細胞の記憶獲得・維持機構が、自己免疫疾患の増悪、再発因子であるかどうか明らかでない。加えて、生体内で同定が困難である自己抗原特異的なメモリーT細胞に関しては研究が進んでおらず、基礎的な分子基盤および自己免疫惹起能に関しても詳しく分かっていない。本年度、非常に数の少ないメモリーTh17細胞の遺伝子プロファイルを取得するための解析手法を樹立した。一般に公開されている微量RNAを対象としたライブラリー作製から次世代シークエンサー解析を比較・実施し、本研究材料に最適な遺伝子プロファイルを解析する独自のパイプラインを確立した。少数(~500)細胞からの安定した解析が可能となったことから、現在、エフェクターTh17細胞とメモリーTh17細胞を比較することによりメモリーTh17細胞に特異的な機能的遺伝子クラスターの同定を進めている。同定した候補分子に対する遺伝子改変マウスを作製し、生体内でのメモリーTh17細胞の記憶獲得・維持機構について明らかにしていく。また、自己免疫疾患特異的なT細胞受容体を持つ新規疾患モデルマウス作製も進めており、引き続き自己抗原特異的なメモリーTh17細胞の形成、維持、機能に果たす分子基盤と自己免疫疾患に及ぼす個体レベルでの役割解明に向け研究を継続していく。
すべて 2019
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 4件、 招待講演 1件)
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