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2017 年度 実施状況報告書

トキソプラズマ原虫を使った細胞内「膜」識別に関する免疫新原理の探索

研究課題

研究課題/領域番号 17K19556
研究機関大阪大学

研究代表者

山本 雅裕  大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (00444521)

研究期間 (年度) 2017-06-30 – 2019-03-31
キーワードトキソプラズマ / 寄生胞
研究実績の概要

応募者はこれまでにトキソプラズマ原虫と宿主自然免疫系の相互作用研究を一貫して行ってきた。宿主側の研究について、インターフェロン(IFN)によりトキソプラズマ原虫の病原体含有膜を破壊する宿主因子としてGBPを同定した(Yamamoto M, et al. Immunity, 2012年)。さらにGBPやIRGが機能するために必要な宿主制御因子を検索した結果、正の制御機構としてオートファジー関連分子であるAtg7とAtg16L1が関与することを報告し(Ohshima J, et al. J Immunol. 2014年)。 以上のようにこれまでの宿主免疫学の研究から、応募者はトキソプラズマ原虫の寄生胞膜は細胞膜(自己)に由来するにもかかわらず、非自己として宿主免疫系に認識されうることから、寄生胞膜に着目してトキソプラズマ原虫と宿主細胞の相互作用を解析すれば、未だ不明な点が多い細胞内の「膜」の自己・非自己識別機構が明らかに出来るのではないかという研究構想に至った。
本研究で、正常細胞内では、インターフェロン誘導性の抗病原体因子GBPが細胞内に均一に配置すること、ゲノム編集法で作製したGate-16欠損細胞ではGBPが細胞内で凝集し不均一な配置となることで、トキソプラズマやサルモネラの病原体含有小胞上への蓄積率が低下し、病原体の効率的な排除が出来ないこと、Gate-16欠損マウスはトキソプラズマ感染に劇的に弱くなることを示した。本研究成果は、近年我が国においても症例報告が増加しているトキソプラズマ症やサルモネラ菌を原因とする食中毒に対して、Gate-16を標的とした新規治療戦略を提供できるものとして期待できる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

2017年度にNature Immunologyに成果を報告できたから。

今後の研究の推進方策

本研究成果を元にして、応募者はトキソプラズマ原虫の寄生胞膜は細胞膜(自己)に由来するにもかかわらず、非自己として宿主免疫系に認識されうることから、寄生胞膜に着目してトキソプラズマ原虫と宿主細胞の相互作用を解析すれば、未だ不明な点が多い細胞内の「膜」の自己・非自己識別機構が明らかに出来ると考え、来年度以降も研究を進めていく。

次年度使用額が生じた理由

他の経費で購入したプラスチック器具類及び細胞培養試薬を共有できたため、見込み額よりも少なくできたため、差額が生じた。次年度は、本年度の残り分と合わせて全て使用する見込みである。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件)

  • [雑誌論文] Host immune responses to Toxoplasma gondii2018

    • 著者名/発表者名
      Sasai Miwa、Pradipta Ariel、Yamamoto Masahiro
    • 雑誌名

      International Immunology

      巻: 30 ページ: 113~119

    • DOI

      doi: 10.1093/intimm/dxy004

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Essential role for GABARAP autophagy proteins in interferon-inducible GTPase-mediated host defense2017

    • 著者名/発表者名
      Sasai Miwa、Sakaguchi Naoya、Ma Ji Su、Nakamura Shuhei、Kawabata Tsuyoshi、Bando Hironori、Lee Youngae、Saitoh Tatsuya、Akira Shizuo、Iwasaki Akiko、Standley Daron M、Yoshimori Tamotsu、Yamamoto Masahiro
    • 雑誌名

      Nature Immunology

      巻: 18 ページ: 899~910

    • DOI

      doi: 10.1038/ni.3767

    • 査読あり / 国際共著

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公開日: 2018-12-17  

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