これまでの研究から、線維症の発症には患部で異常に蓄積する細胞であるsegregated nucleus atypical monocyte(SatM)が重要である事を明らかにしている。また、MDPを移植しても末梢に分化したSatMは出現しなかいが、マクロファージ、好中球、好酸球の前駆体でもあるGMPをマウスに移植し、再度fate mappingを行ったところ、末梢に成熟したSatMが出現したことから、通常のマクロファージとは異なる分化経路をたどる事を明らかにしてきた。さらなる研究の結果から、lineage-ckit-をC5aR+M-CSFR+Ly6C-FceRI+で定義する分画に存在している細胞集団が、SatMの前駆体であるSMPである事を明らかにした。そこで、このSMPで重要な働きをしている分子を同定する目的で、MDP、GMP、cMoP、SMPから網羅的遺伝子発現情報を取得したものを比較した。その結果、4つの遺伝子が候補として得られてきたのでCrispr/Cas9のシステムをもちいて、遺伝子欠損マウスを作製した。3種のKOマウスは生まれたので、成体になり次第、骨髄からSMPを回収し、コロニーフォーメーションアッセイを行って、その増殖率の解析を行う。また、同様に回収したSMPを、野生型マウスに移植し、fate mappingを実施して、正しくSatMが出現するかについても検討する。また、残りの1つは胎生致死となる事が明らかとなった。どのタイミングで死亡しているかを検討したところ、e.d=15.5までは生きていることが確認されたので、その肝臓を回収し、γ線を照射した野生型マウスに移植した。この系統も細胞が生着し次第解析を行う予定である。
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