研究課題
生命機能の根幹を支えるミトコンドリアは、細胞質全体に管状の網様構造を形成・分布し、絶えず融合と分裂を繰り返すダイナミックなオルガネラである。このミトコンドリアの動的な構造特性が破綻すると、生命の高次機能にさまざまな悪影響がおよぶ。 本研究では、ミトコンドリアの「形」に着目し、その構造特性を人為的に改変することで、ミトコンドリア本来の機能発現、特にウイルスに対する自然免疫応答へどのような影響が及ぶのか、実験的アプローチで明らかにすることを目的とした。該当年度は、ミトコンドリアゲノム(mtDNA)の改変を行い、その生理的な影響を調べた。具体的には、培養細胞を薬剤処理することでmtDNAを減少させ、その細胞のRNAウイルスの感染実験による自然免疫応答や呼吸活性への影響を調べた。mtDNA量が著しく低下した細胞内の呼吸活性は大きく減少しており、ウイルス感染にともなう自然免疫応答も大幅に抑制されていた。さらに、mtDNAが一部欠損したマウスにおけるウイルス感染実験からも本細胞実験による結果が支持されていた。以上のことから、ミトコンドリアゲノムの自然免疫における重要性を明らかにすることができた。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件) 備考 (1件)
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