流行性耳下腺炎(おたふくかぜ、ムンプス)の原因であるムンプスウイルスは、唾液腺炎以外に精巣炎、卵巣炎、乳腺炎、膵炎、髄膜炎、脳炎、難聴などを起こす。予防のための生ワクチンが存在するが、副反応が起こることがあるため、わが国では任意接種になっている。そのため、ワクチン接種率は低く、毎年数十万人の患者が出ている。特異的な治療薬はない。本研究では、ムンプスウイルスが標的細胞に感染する際に必要な細胞側の蛋白質を同定した。この蛋白質の働きを詳細に解析することにより、ムンプスウイルスの細胞感染メカニズムが明らかになるだけでなく、抗ウイルス薬開発につながる可能性がある。
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