研究課題/領域番号 |
17K19566
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
金子 修 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (50325370)
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研究分担者 |
川合 覚 獨協医科大学, 医学部, 教授 (70275733)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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キーワード | マラリア / 赤血球侵入 / ワクチン / サル / 遺伝子改変 |
研究実績の概要 |
平成30年度には、Plasmoduim knowlesiがin vitro培養でヒト成熟赤血球に効率よく侵入できるように、熱帯熱マラリア原虫のヒト成熟赤血球認識リガンドを発現するプラスミドを遺伝子導入した。得られた組換え原虫はヒト赤血球への侵入能力の向上がみられ、マラリア原虫の赤血球侵入能力を制御する技術開発に進展がみられた。また、平成29年度までにPkSETvsの遺伝子座を除くことが困難であることが分かったため、平成30年度は、CRISPR/Cas9法によりDiCre/LoxP系によるPkSETvsの条件下ノックアウト原虫(PkSETvs-iKO原虫)の作製を試みた。DiCreを発現するP. knowlesi株において、PkSETvs遺伝子の3’側にloxP配列が挿入された組換え原虫の作製を試みたが、組換え原虫の割合が低いことが示唆された。組換え効率の悪さはgRNAに原因があると考えた。一方、PkSETvs遺伝子の5’側にloxP配列が挿入された組換え原虫は得ることができた。そこで、5’側にloxP配列が挿入された原虫に、さらに3’側にloxP配列を挿入するためのgRNAを変えた新たなプラスミドのデザインを行った。PkSETvsが必須である可能性について上述したが、念のため、SET領域のみ除かれた組換え原虫(PkSETvsドメインKO原虫)の作製も試みた。しかし、クローン化した原虫はすべて野生型を示し、組換え原虫の割合が低いことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
P. knowlesiにおいて遺伝子発現を調整するためのプラスミドが挿入された組換え原虫を得ることに時間がかかったため。
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今後の研究の推進方策 |
①赤血球侵入能力の制御技術開発については、得られた組換え体についてヒト赤血球への侵入能力向上を定量的に評価する。②抗原性強化技術の検証・確立については、プラスミドのデザインを再検討し、PkSETvs-iKO原虫もしくはPkSETvsドメインKO原虫の作製を完了し、赤血球表面に発現している抗原の転写抑制が解除されるか否か、また、抗原性が強化されているか否かを検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
遺伝子発現を調整する系による原虫を得ることができなかったため、当初予定していた条件下ノックダウンの影響評価を検討できなかった。ヒト赤血球への侵入能力が強化されたP. knowlesi株の解析を行うための試薬に加え、発現調節用のプラスミドのデザインを変え、PkSETvs-iKOおよびPkSETvsドメインKOを作製するためのプラスミド構築、原虫培養、原虫の遺伝子改変、タンパク質発現解析等の分子細胞生物学解析を行うための試薬の購入に用いる。
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