研究実績の概要 |
RB1遺伝子をCRISPRを用いて欠損させたヒトiPS株を作成した。まずはじめに、dCAS-KRABシステムを用いて、RB1遺伝子の発現をTamoxifen依存的に抑制、あるいは抑制解除が可能な系を入れ込んだヒトiPSを作成した。未分化なiPSとして培養している段階で、RB1欠損株について、細胞数の増加、EdU取り込みなどのFACSによる検討により、親株と増殖能に差があるか検討を行った。その結果増殖能は、RB1を抑制しても影響がなかった。 次に、網膜分化させた状態でRB1の発現を抑制した場合の増殖能への影響の検討に入った。分化を開始してからTamoxifenを添加すると、おそらくゲノムのメチル化の影響か、Tamoxifenを添加しても十分なRB1の発現の抑制がかからないことが明らかになった。様々な条件でTamoxifenの添加を行ったが、抑制が不十分で病態を反映しないと考え、CRISPR-dCASでの解析を断念することとした。 そこでストラテジを変更しATG付近にguide RNA (gRB1)を設計し、guide,Cas9,EGFPのall-in-oneプラスミドをhuman iPS lineにエレクトロポレーションで導入し、EGFP陽性細胞をセルソーターで精製した後、クローンを単離することとした。Genomeの配列を確認し、両アリールにnonsense mutation (STOPコドンがATG近傍にはいっている)がはいっているクローンを選択することを試みたがこうしたクローンが取れる効率が悪いため、ストラテジを変更し、二つのgRNAを用いて第一エクソンを飛ばして発現を落とす系を構築した。この系による効率について、樹立細胞株を用いて良好であることを確認した。
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