ゲノム編集技術を用いて,ヒトグリオーマで認められる主要遺伝子変異(CDKN2A,PTEN,NF1,TP53)を初代培養アストロサイトに導入したところ,不死化や増殖能の亢進が観察された。しかし,この不死化アストロサイトは,患者由来サンプルと比較して,僅かなスフィア形成能を有するのみであった。既知の幹細胞性獲得転写因子の強制発現は,分化した脳腫瘍細胞においては未分化性獲得に寄与したものの,アストロサイトでは不十分であり,更なる遺伝子異常あるいはシグナル異常が必要であると考えられた。一方,本研究において,新規の幹細胞可視化システムを構築したため,今後の未知因子の探索に有用であると期待された。
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