研究課題
MMTV-HER2/FRS2beta-/-マウスは、がん発症が遅延しておこる。その後の経過より、肺転移が高頻度に起こることがわかった。MMTV-HER2/FRS2beta+/+マウスモデルでは、原発がんの増大は早いが、肺転移はほとんど起こらず、興味深い。FRS2betaに対する標的治療を施したのちの再発がんのモデルとして優れている。腫瘍増大過程におけるがん組織を採取して、DNAマイクロアレイ解析を行った。GSEA解析により、MMTV-HER2/FRS2beta-/-マウス由来の腫瘍は、小さいがEpithelial mesenchymal transition (上皮間葉転換)のパスウエイが上昇しており、個別遺伝子を調べるとTGF-betaの発現が高いことがわかった。qPCRにて、TGF-beta遺伝子の発現上昇は確認できた。このTGF-betaシグナルを介して、早期の転移が起こっていることが示唆された。FRS2betaは、初発がんにおいては、前がん状態の乳腺に様々なサイトカインの産生を誘導し、FRS2betaを標的とした予防治療が考えられる。一方、再発がんにおいては、FRS2betaが発現しているほうがむしろサイトカイン依存性のがんとなり、悪性度は低いことがわかった。我々は、FRS2betaに対するモノクローナル抗体を作成しており、バイオマーカーとしての特許取得済みである。まずは、超早期がんのバイオマーカーとしての実用化を目指す。
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