現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度、当初の計画通り、米国ミシガン大学よりジペプチドトランスポーターSlc15A2遺伝子のノックアウトマウスの供与を受け、CMLのマウスモデルを構築した。野生型マウス、並びに同腹仔のSlc15A2ノックアウトマウスの骨髄単核細胞を取得し、抗CD4 (L3T4)、抗CD8 (53-6.7)、抗B220 (RA3-6B2)、抗TER119 (Ly-76)、抗Gr-1 (RB6-8C5)、抗Mac1 (M1/70)、抗Sca-1 (E13-161.7)、並びに抗c-Kit (2B8)抗体を用いた染色を行った。これらのマウス骨髄単核細胞から、セルソーター (FACS Aria III, BD社製) を用いて、マウス造血幹細胞を含む分化マーカー(CD4, CD8, B220, TER119, Gr-1, Mac1)陰性・c-Kit陽性・Sca-1陽性細胞集団 (KSL細胞) を純化した。このKSL細胞に、レトロウイルスベクターを用いてBCR-ABL1遺伝子を導入した(BCR-ABL1遺伝子は、染色体9番のABL1遺伝子と染色体22番のBCR遺伝子の融合によって生じるヒトCMLの原因遺伝子である)。この細胞を放射線照射したレシピエントマウス (C57BL/6) に移植を行なった。約2から3週間後、CMLの発症を確認した。 また、本研究では、上皮性腫瘍のがん幹細胞におけるジペプチド種の蓄積、及びその役割を検証する。平成29年度、予備実験として、正常胃腺幹細胞由来のオルガノイドを用いたメタボローム解析を行ない、解析に必要な細胞条件の検証を実施した。その結果、3x10^6細胞を用いることで網羅的な代謝産物のメタボローム解析が可能であることを明らにした。
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