研究課題/領域番号 |
17K19600
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
望月 慎史 広島大学, 医歯薬保健学研究科(医), 助教 (90349473)
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研究分担者 |
小林 正夫 広島大学, 医歯薬保健学研究科(医), 教授 (00162016)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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キーワード | 先天性骨髄不全症候群 / 重症先天性好中球減少症 / 白血病 / iPS細胞 / 遺伝性腫瘍症候群 / cancer predisposition |
研究実績の概要 |
本年度は、主に重症先天性好中球減少症(SCN:severe congenital neutropenia)患者および健常人由来iPS細胞の樹立、好中球分化系の効率化と安定化についての検討を行った。 1.CD34+細胞からのセンダイウイルス(SeV)ベクターを用いたiPS細胞の樹立 我々がすでに樹立したSCN患者由来iPS細胞および健常人由来iPS細胞から好中球分化誘導を行い、比較検討を行うことから研究を開始したところ、好中球分化効率が不安定であったことから、統一した方法で再度樹立を行うこととした。骨髄もしくは末梢血のCD34+細胞を抽出し、SeVベクターにより細胞の初期化を誘導するいわゆる山中因子を導入、iPS細胞を樹立した。それぞれ、奇形腫形成能や細胞免疫染色による未分化マーカー(Nanog、Sox-2、SSEA-4 等)の発現により、その未分化性も確認できた。加えて同様の方法で周期性好中球減少症(CN:cyclic neutropenia)患者由来iPSの樹立を行った。CNはSCNの同じ遺伝子の異常から発生することが知られているが、SCNと異なり白血病化することが極めて稀である。SCNの白血病化のメカニズムの解明のため、上記と同様の系を用いてCN患者由来iPS細胞の樹立を行った。 2.好中球への分化誘導 これまで我々が用いてきたSac法、AGM法、いずれの方法でも安定して好中球への分化誘導を確認することが出来た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要に示したように、統一したベクター、方法を用いてiPS細胞の樹立を行い、好中球への安定した分化誘導を確率できた。この系を用いることで今後SCN、CN、健常人由来iPS細胞のみならず、他の先天性骨髄不全症候群(CBMFS:congenital bone marrow failure syndrome)患者由来iPS細胞樹立、血球分化応用可能な安定した系を確立できた。
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今後の研究の推進方策 |
健常人由来iPS細胞、およびSCN、CN患者由来iPS細胞を用いて、ストローマ細胞への分化誘導、共培養による血球分化実験を行う。他のCBMFS患者由来iPS細胞由来iPS細胞を順次樹立し、同様の系での解析を進めていく。白血病関連遺伝子変異の遺伝子導入・改変により白血病細胞発生誘導を確認できた後に、その発生過程について詳細に検討を行う。また上記の検討により明らかとなったCBMFS患者における白血病発生に関わる造血細胞、あるいは患者由来ストローマ細胞に発現する分子の異常を正常化する方法(化学物質、低分子化合物、遺伝子改変など)を検討する。
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