本研究では正常細胞から人工的に構築した前がん状態の細胞を試験管内悪性させるモデルを構築した。これらのモデル細胞株に対して、われわれが独自に構築した次世代型定量プロテオミクスの手法であるiMPAQT法を適用することで、がん悪性進展過程における代謝再編成の実体をプロテオームレベルで解明することを試みた。その結果、がん悪性進展に伴いグルタミン代謝経路に関わる酵素の発現が顕著に変化していることを明らかにした。特に、グルタミンの窒素をPRPPに転移することで核酸合成を促す酵素であるPPATが足場非依存増殖において重要な役割を担っており、その阻害が造腫瘍能を低下させることを明らかにした。
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