研究課題/領域番号 |
17K19613
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
千代田 達幸 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (40445367)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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キーワード | 卵巣癌 / 低分子RNA |
研究実績の概要 |
Piwi-interacting RNA (piRNA)はPIWIファミリータンパク質と結合する小分子RNA群と定義される。piRNAはmicroRNAよりも少し長い23-32塩基の長さであり、2006年にマウス精巣において発見、定義された。PIWIは生殖組織特異的に発現する基質特異性のない酵素(Argonaute)であり、PIWIはpiRNAと相補的な標的RNAを認識し、その遺伝子発現を抑制する。ショウジョウバエのpiRNAはゲノム上の繰り返し配列であるレトロトランスポゾンに由来するものが多く、卵巣においてレトロトランスポゾンの発現調節に機能することが報告されている。卵巣癌は卵巣表層上皮から発生すると考えられているが、そのsoilが生殖臓器である卵巣であるという特性は精査されてこなかった。本研究では卵巣癌におけるpiRNAおよびPIWIの役割を明らかにする。 今年度は漿液性卵巣癌5検体、正常卵巣2検体の計7検体をもちいて、全トランスクリプトーム解析および全small RNA解析を、次世代シーケンスを用いて行った。その結果卵巣癌で特異的に発現が低下、上昇しているpiRNAが明らかとなった。また、そのpiRNAが標的とすると考えられるmRNAをin silico解析で同定した。またrRNA、tRNA、snoRNAなどの低分子RNAの網羅的な卵巣癌発現プロファイルを構築し、卵巣癌で発現しているPIWIも同定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
卵巣癌に特異的なpiRNAを明らかにすることができた。同時にmiRNAなど低分子RNAの卵巣癌における包括的なプロファイルを同定することができた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究目的の達成には、今後同定したpiRNAの機能解析を行うことが必要である。PIWIファミリータンパク質の卵巣癌における機能とあわせて解析をさらにすすめていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
試薬の納品が年度内に間に合わなかったことと、予定していたSNPアレイをおこなわなかったため次年度使用額が生じた。次年度の消耗品費に上積みし、実験の迅速化を図る。
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