近年、代謝経路切り替えががん細胞のストレス耐性獲得に寄与する事が明らかになりつつある。タキサン系抗がん剤であるパクリタキセルは微小管を安定化させることで細胞分裂を阻害し効果を発揮するが、我々は乳がん細胞のパクリタキセル耐性株において、解糖系からセリン生合成経路を経て含硫アミノ酸代謝への経路が活性化し、antioxidantsが増加することを見出した。その際、硫化水素産生酵素の発現レベルによって複数の代謝酵素群のチオール基の可逆的な修飾変化が認められた。これらのことから、解糖系由来の炭素源が硫黄代謝へ利用されることがパクリタキセル薬剤耐性獲得の必要条件であることが示唆された。
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