研究課題
癌細胞由来の液性因子及びエクソソームによる微小環境の制御機能の解析のため、いくつかの有意義な成果を取得することができた。1. メラノーマ、グリオーマ、小細胞性肺癌細胞株において、ガングリオシドGD3 を発現しないコントロール細胞と、GD3合成酵素遺伝子cDNA を導入して樹立したトランスフェクタント細胞株を用いて、超遠心法によりエクソソームの調製を行って、その糖脂質関連膜タンパク質分子の発現レベルをimmunoblotting で解析するとともに、親細胞株自身との比較検討を行った。その結果、GD3の発現の有無によらず、エクソソームのレベルに大きな差異は認めなかった。そこで、GD3の有無による、エクソソーム中のインテグリンの含量を比較検討したところ、GD3発現細胞の方が、各々の対応するGD3陰性コントロール細胞に比して、インテグリンが著明に増量していることが示された。このことは、各々のインテグリンのisoformに共通して認められた。一方、元の親細胞株の細胞膜のインテグリンに関しては、インテグリンのバンドの強さに明らかな差を認めなかった。2. 同様に、癌細胞との関連が指摘されているEGF受容体4種に関して解析を行った結果、親の細胞株の膜における発現がGD3発現細胞で亢進していた。エクソソームにおいて同様に比較検討したところ、やはりGD3陽性細胞で発現が亢進しており、エクソソームだけの現象ではないことが分かった。3. エクソソーム中の糖脂質組成を、生化学的抽出とTLCによる検出で比較検討したところ、基本的に親株における糖脂質の組成と同様のプロフィールが認められた。現在、質量分析にて詳細な解析を行っている。4. GD3陽性細胞由来のエクソソームが、培養GD3陰性細胞に与える生物学的作用を検討し、基本的なシグナル分子の活性化を認めており、現在、詳細に検討中である。
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