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2017 年度 実施状況報告書

がんのグルコース代謝に関する新理論の確立-ワールブルグ効果の“がん抑制”作用

研究課題

研究課題/領域番号 17K19620
研究機関地方独立行政法人宮城県立病院機構宮城県立がんセンター(研究所)

研究代表者

田沼 延公  地方独立行政法人宮城県立病院機構宮城県立がんセンター(研究所), がん薬物療法研究部, 主任研究員 (40333645)

研究期間 (年度) 2017-06-30 – 2019-03-31
キーワードPkm1 / Pkm2 / Pkm / 代謝 / がん
研究実績の概要

Pkm1によるがん促進の分子機構を解明し、「がんとグルコース代謝」に関する新規理論モデル”を確立することを目的として、研究を行った。
「1」Pkm1によるXXX代謝経路の制御機構:Pkm1による好気代謝亢進のXXX合成経路への影響をしらべるため、新たなアッセイ系を確立した。この方法では、細胞をXXX経路前駆体の安定同位体(15N標識)トレーサーでラベルし、質量分析で、XXX関連メタボライトの15N-ラベル体・非ラベル体のレベルを分別定量する。この新規トレーサー解析により、Pkm1が、確かにXXX合成経路を活性化させることが分かった。
「2」Pkm1によるオートファジー活性化とそのメカニズム:これまでの生化学的解析・メタボローム解析・ミトコンドリア解析等の結果から、Pkm1がオートファジーを活性化することが示唆されていた。蛍光タンパクベースのオートファジープローブ(GFP-LC3-RFP)を染色体に安定に組み込んだ細胞を作製し、Pkm1やPkm2ノックイン細胞におけるオートファジーフラックスの違いを測定した。このオートファジープローブ解析や、ATG7ノックアウト細胞の解析などから、Pkm1がオートファジーを活性化することが示された。各種阻害剤やRNAiを用いた検討から、Pkm1によるオートファジー活性化に、XXX合成の亢進が関わることが強く示唆された。
「3」グルコース代謝とグルタミン代謝の相互作用:Pkm1によるグルコース代謝の制御が、グルタミン代謝にも影響を及ぼすことを発見した。13Cラベルしたグルタミンをトレーサーに使用した解析から、Pkm1はグルコース異化を促進する一方、グルタミンの異化を低く保つ作用があることが判明した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

Pkm1によるXXX代謝経路・オートファジー活性化の実証が順調に推移したのに加え、グルコース代謝とグルタミン代謝との相互作用が判明したことから、当初の計画以上の成果が得られたといえる。

今後の研究の推進方策

H29年度の成果をふまえ、当初計画をやや変更して、Pkm1/好気代謝によるXXX合成促進の分子機構に焦点を当てて、研究をすすめることとする。

次年度使用額が生じた理由

(理由)
消耗品費等を当初の想定よりも低く抑えられたため。
(使用計画)
未使用分を有効活用し、積極的に計画を進める。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件)

  • [雑誌論文] Revisiting glucose metabolism in cancer: lessons from a PKM knock-in model.2018

    • 著者名/発表者名
      Sato T, Morita M, Nomura M, Tanuma N
    • 雑誌名

      Mol Cell Oncol

      巻: 印刷中 ページ: 印刷中

    • 査読あり
  • [雑誌論文] PKM1 Confers Metabolic Advantages and Promotes Cell-Autonomous Tumor Cell Growth2018

    • 著者名/発表者名
      Morita M, Tanuma N,et al.
    • 雑誌名

      Cancer Cell

      巻: 33 ページ: 355~367.e7

    • DOI

      10.1016/j.ccell.2018.02.004

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Cysteinyl-tRNA synthetase governs cysteine polysulfidation and mitochondrial bioenergetics2017

    • 著者名/発表者名
      Akaike T, Ida T, Wei FY, Nishida M, Kumagai Y, Alam MM, Ihara H, Sawa T, Matsunaga T, Kasamatsu S, Nishimura A, Morita M, Tomizawa K, Nishimura A, Watanabe S, Inaba K, Shima H, Tanuma N, Jung M, Fujii S, Watanabe Y, Ohmuraya M, Nagy P, Feelisch M, Fukuto JM and Motohashi H
    • 雑誌名

      Nature Communications

      巻: 8(1) ページ: 1177

    • DOI

      10.1038/s41467-017-01311-y

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Ex vivo model of non-small cell lung cancer using mouse lung epithelial cells2017

    • 著者名/発表者名
      Sato T, Morita M, Tanaka R, Inoue Y, Nomura M, Sakamoto Y, Miura K, Ito S, Sato I, Tanaka N, Abe J, Takahashi S, Kawai M, Sato M, Hippo Y, Shima H, Okada Y and Tanuma N
    • 雑誌名

      Oncol Lett

      巻: 14(6) ページ: 6863-6868

    • DOI

      10.3892/ol.2017.7098. Epub 2017 Sep 28.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Enhanced expression of the M2 isoform of pyruvate kinase is involved in gastric cancer development by regulating cancer-specific metabolism2017

    • 著者名/発表者名
      Shiroki T, Yokoyama M, Tanuma N, Maejima R, Tamai K, Yamaguchi K, Oikawa T, Noguchi T, Miura K, Fujiya T, Shima H, Sato I, Murata-Kamiya N, Hatakeyama M, Iijima K, Shimosegawa T and Satoh K
    • 雑誌名

      Cancer Sci

      巻: 108(5) ページ: 931-940

    • DOI

      10.1111/cas.13211. Epub 2017 Apr 24.

    • 査読あり
  • [学会発表] Pkm遺伝子改変から見えてきた、ワールブルグ効果の“がん抑制的”側面2017

    • 著者名/発表者名
      田沼延公
    • 学会等名
      第5回 がんと代謝研究会
    • 招待講演
  • [学会発表] Predominance of Pkm2 limits glucose metabolism and tumor development2017

    • 著者名/発表者名
      Tanuma N
    • 学会等名
      2017 日本癌学会
    • 招待講演

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公開日: 2018-12-17  

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