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2018 年度 実施状況報告書

ムチンプロファイル解析による粘液線維肉腫の悪性形質発現機能の解明

研究課題

研究課題/領域番号 17K19627
研究機関国立研究開発法人産業技術総合研究所

研究代表者

亀山 昭彦  国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 上級主任研究員 (80415661)

研究期間 (年度) 2017-06-30 – 2020-03-31
キーワードムチン / 粘液線維肉腫 / 分子マトリクス電気泳動
研究実績の概要

本研究では、骨軟部腫瘍、特に粘液線維肉腫において発現量が変化するムチンおよびその糖鎖について、研究代表者が世界に先駆けて開発したムチン解析法である分子マトリクス電気泳動法を用いたムチンプロファイル解析を行い、従来の病理診断、組織学的悪性度等と対比させることにより、ムチンの種・質・量に着目した粘液線維肉腫に関する新たな疾患概念の確立や、その発生、浸潤性に関わる分子機構の解明、さらには新たな血清診断マーカーの発見を目指す。
これまでに、浸潤性粘液線維肉腫ではムチンはほとんど分泌されておらず、一方でヒアルロン酸が大量に発現されていることを明らかにした。2018年度は、非浸潤性の粘液線維肉腫におけるムチンプロファイル解析についても研究を進め、浸潤性と非浸潤性の差異を明らかにする予定であったが、粘液線維肉腫は希少がんであり新鮮凍結試料が得られなかった。そのため、ホルマリン固定組織からのムチンプロファイル解析法について重点的に開発を進めた。まず、方法論開発のためのモデルとしてパラフィン包埋したブタ顎下腺組織を利用してムチン抽出の検討を行った。ホルマリン固定組織からのタンパク質抽出では脱パラフィン後、加熱処理する方法が一般的であるが、この方法ではムチンを抽出することができなかったため、薬品処理による方法を検討した。本法によりホルマリン固定組織は溶解し、ムチンの抽出が可能となった。今後、本法を臨床試料へ応用するためには、この処理により得られたムチンの糖鎖が凍結組織から得た場合と比較して変化していないか等について詳細に調べる必要がある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

平成29年度は、浸潤性粘液線維肉腫のムチンプロファイル解析を行った。浸潤性粘液線維肉腫ではムチンはほとんど分泌されておらず、一方でヒアルロン酸が大量に発現されていることを明らかにした。平成30年度は、非浸潤性の粘液線維肉腫との比較を行い浸潤性との関連を究明する予定であったが、粘液線維肉腫は希少がんであり新鮮凍結組織を得ることができなかった。そのため過去の症例のホルマリン固定組織を用いたムチンプロファイル解析を可能とするべく、その方法論の検討を開始した。このため、臨床試料を用いた実験は方法論が確立するまで延期している。

今後の研究の推進方策

粘液線維肉腫は希少がんであり検体数が少ない。したがってこれまでに蓄積されたホルマリン固定パラフィン包埋検体が利用できれば、より短期間で病態とムチンプロファイルとの相関を明らかにできる可能性がある。今後は、まずホルマリン固定組織からのムチンプロファイル解析法を完成させ、過去の症例の分析を開始する。

次年度使用額が生じた理由

2018年度に連携研究者から送付された凍結組織はなかったため、それに応じてムチンプロファイル解析に利用する消耗品の使用量が低下した。2019年度には、ホルマリン固定組織を試料としたムチンプロファイル解析法を確立し、さらにその方法を活用したホルマリン固定された粘液線維肉腫の試料を解析する計画であり、そのための消耗品費として利用する。
2019年度は、ホルマリン固定組織からのムチンプロファイル解析法を完成させ、ホルマリン固定された粘液線維肉腫の過去の症例の分析を進める。浸潤性と非浸潤性の双方の粘液線維肉腫についてムチンプロファイル解析を進め、その差異を明らかにする。さらに分析の例数を増大させ、その差異に有意性があることを実証していく。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2019

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] A rapid separation and characterization of mucins from mouse submandibular glands by supported molecular matrix electrophoresis2019

    • 著者名/発表者名
      Kameyama Akihiko、Yamakoshi Kimi、Watanabe Atsushi
    • 雑誌名

      Biochimica et Biophysica Acta (BBA) - Proteins and Proteomics

      巻: 1867 ページ: 76~81

    • DOI

      10.1016/j.bbapap.2018.05.006

    • 査読あり

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公開日: 2019-12-27  

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