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2017 年度 実施状況報告書

意思決定における海馬の行動予想発火の役割

研究課題

研究課題/領域番号 17K19631
研究機関京都大学

研究代表者

林 康紀  京都大学, 医学研究科, 教授 (90466037)

研究期間 (年度) 2017-06-30 – 2019-03-31
キーワード行動予想発火 / 海馬 / 意思決定
研究実績の概要

動物は行動する前に、意識下あるいは意識上にシミュレーションを行うことで、脳内モデルを形成し、そのうち最適なものを選択することで、意思決定を行っていると考えられる。しかし、それに関わる神経回路は明らかではない。海馬では動物の場所に応答する場所細胞がある事が知られている。最近、それだけではなく、それらの細胞は行動前、これからの行動を予想するようにも発火する事が見出された。これは、行動しようとする経路に対する場所細胞が、行動直前に順に発火するものであり、特定の経路を通ることを意思決定したことを反映していると考えられる。さらに動物に走った経験がない新たな経路を予想させると、これまで経験した発火を合成することにより、新たな経路に対応する発火系列を形成することができることから、単にこれは既に走った経験がある経路の場所細胞が再活性化されているのではなく、新たな脳内モデルが形成されていると想定される。このような行動予想発火系列が行動を計画し、かつ引き起こすのに必要十分であるかは明らかではない。この解明にあたり難しい点は、行動予想発火系列は時間的に制御されたものであり、単に光遺伝学的に活性化させただけでは誘導できない点である。そのため、技術的な工夫が必要である。そこで本研究では、次のようなspecific aimを設定して研究を進める。
SA1. シナプス可塑性閾値の光制御技術の開発
SA2. 特定のCA3神経細胞をセルアセンブリに誘導し、発火順列を形成させる技術の開発
SA3. 海馬における行動予想発火が行動の選択とその柔軟性に必要十分であるかの検討
SA4. 人為的に形成された行動予想発火が新たな行動パタンを誘導できるかの検討

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

光活性化CREBの作成を試みたが、残念ながら光を当てない時のbackgroundが高く、利用しにくいことがわかった。

今後の研究の推進方策

そのため、光活性化CaMKIVの作成を試みている。CREBの場合と異なり、CaMKIVは脱リン酸化酵素の活性よりbackgroundのリン酸化反応が抑制されると考えられる。光活性化CREBの作成に当たり、すでに光活性化核移行シグナルを作成したため、それを常時活性型のCaMKIVに融合することで、光活性化CaMKIVの作製は可能ではないかと期待している。

次年度使用額が生じた理由

本学医学研究科・医学研究支援センター受託解析利用負担金の1-2月分165982円が4月になってから計上されている。そのため、すでに使用した。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2017

すべて 雑誌論文 (2件)

  • [雑誌論文] Hippocampus-Dependent Goal Localization by Head-Fixed Mice in Virtual Reality2017

    • 著者名/発表者名
      Sato Masaaki、Kawano Masako、Mizuta Kotaro、Islam Tanvir、Lee Min Goo、Hayashi Yasunori
    • 雑誌名

      eNeuro

      巻: 4 ページ: 3-3

    • DOI

      10.1523/ENEURO.0369-16.2017

  • [雑誌論文] Photomarking Relocalization Technique for Correlated Two-Photon and Electron Microcopy Imaging of Single Stimulated Synapses2017

    • 著者名/発表者名
      Bosch Miquel、Castro Jorge、Sur Mriganka、Hayashi Yasunori
    • 雑誌名

      Methods Mol. Biol.

      巻: 1538 ページ: 185~214

    • DOI

      10.1007/978-1-4939-6688-2_14

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公開日: 2021-01-27  

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