研究課題
本研究では、当初の目的として光活性化CREBならびにCaMKIV作成し、それを用い、特定の神経細胞に記憶をエンコードさせることを目的とした。この目的のため、両者が核タンパク質であることを利用し、光活性化核移行シグナル (paNLS)を作成することを試みた。この目的のためには燕麦由来の向光性に関与する蛋白質ドメインである、LOV2ドメインを用いた。LOV2ドメインは光照射により、構造が変化し、他のタンパク質の活性を調節できる。そこで、mCherryと核輸出シグナル-LOV2ドメイン-核移行シグナルとを融合し、細胞に発現し光照射を行った。すると、ある1つの構築で核へ移行することが観察された。このことから、光活性化核移行シグナルの作成に成功したと考えられた。しかしCREBと融合し、CRE下流でluciferase発現させたところ、光照射していない場合も発現が見られ、mCherryのシグナルでは検出されなかったが、その程度の発現でもCREBの活性がleakしていることが疑われた。現在、CaMKIVを同様なアプローチで作成している他、優勢抑制体のCREBならびにCaMKIVを作成し、記憶固定化の実験に利用できないかを試行していく。一方、行動予想発火によって誘導されるシナプス可塑性を抑制することを検討していく。この目的のため、村越らによって作成されたpaAIPを用い、樹状突起スパインの構造的LTPが抑えられるかを観察したところ、グルタミン酸刺激と同時に光活性化した時のみ、抑制が認められた。今後、脳波を測定しつつ、行動予想発火をsharp-wave rippleとして観察しつつ、paAIP を活性化することで、LTPを阻害したら記憶が阻害されるかを検討していく。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 2件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 3件、 招待講演 5件) 備考 (1件)
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