記憶は長期保持するために、海馬から皮質へ移行されることを記憶の固定化という。しかし、皮質のどの領域に移行していくかわかっていない。本研究では、抑制性回避学習をマウスに行わせた30分後と35日後で脳スライスを摘出し、パッチクランプ法を適用し、固定化先として有力候補である大脳皮質領域の前帯状皮質(ACC)の2/3層および海馬の興奮性神経細胞の活動を記録した。学習後すぐにはAMPA/NMDA比は変化しなかったが、35日以降ではAMPA電流が大きくなった。一方、海馬では学習後すぐにAMPA電流は大きくなった。従って、記憶の固定化先としてACCに転送されている可能性が高いことがわかった。
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