研究課題/領域番号 |
17K19639
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
阿部 高志 筑波大学, 国際統合睡眠医科学研究機構, 准教授 (00549644)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2023-03-31
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キーワード | 睡眠 / 眠気 / 覚醒度 / ヴィジランス |
研究実績の概要 |
今年度は下記2点を実施した。 (1)睡眠不足は、覚醒度だけではなく時間の認識などの認知機能を低下させる。これまでの研究では、知覚された時間は、キューからターゲットまでの間隔の関数として、シータ周波数で変動することが知られていた。しかし、睡眠不足が時間知覚の揺らぎに影響を与えるかどうかは不明である。本研究では、断眠と通常睡眠前後の時間知覚を比較した。両条件とも、睡眠時間(23:00~8:00)前後のタスクで、参加者(N = 24、女性 13、平均年齢25.6±3.5歳)にキーを押して3秒間の時間を生成してもらった。キュー(応答信号があることを示す)とターゲット(できるだけ早く3秒を出すこと を示す)の間隔は0.25ー1.05秒、1/30秒刻みで設計した。その結果、断眠条件下では、先行研究同様、時間の過大評価が見られた。また、低シータ周波数 (4.4~4.8Hz)における時間知覚の揺らぎが、断眠下で強くなることがわかった。さらに、時間知覚は非常に低い周波数で変動し、パワースペクトルに反映される 場合があった。つまり、通常睡眠と比較して、断眠は、0.01ー0.04 Hzでより多くの時間知覚の変動をもたらし、逆に、0.001ー0.01Hzではより少なくなった。本研究は、時間知覚のような認知能力が様々なリズムで変動し、睡眠不足がその変動に影響を与える可能性を示唆するものである。 (2)日中に精神運動ヴィジランス課題を取得するとともに、ヴィジランスに影響しうる眠気、睡眠の質、マインドワンダリング傾向、ADHD傾向を100名から取得する実験を計画し、倫理委員会の承認を得た。覚醒度の揺らぎに及ぼす要因を明らかにする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍によってデータ取得が遅れたものの予定していた実験データの取得を完了できた。現在,行動データ解析とともに脳波解析を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は、現在実施中の実験を完了するとともに、これまでに取得したデータの解析をまとめて研究成果を発表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究課題を終了する予定であったが、コロナ禍によって実験実施スケジュールが大幅に遅延したため、当初予定していた予算を繰り越した。2022年度は繰越予算をデータ取得および論文投稿のために使用する。
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