研究実績の概要 |
慢性腎臓病はeGFRの低下または尿蛋白を呈し、徐々に腎障害の進展をきたす疾患である。その病態の一部として、腎糸球体ポドサイトが尿中へ脱落あるいはアポトーシスを起こすことが重要な役割を果たすと言われている。今回我々は将来の細胞治療を目的として、線維芽細胞にポドサイト特異滴な転写因子セットを遺伝子導入することで、ダイレクトリプログラミングによりin vitroにてポドサイトを作成することを目的とした。まず、公共のデータベースならびに過去の文献検索から、ポドサイトに特異的に発現しその分化に関連すると考えられる転写因子としてWt1, Lmxb1, Foxc2, Mafb, Tcf21, Foxd1, Hoxc1, Eya4, Arnt2, Foxd2, Pbx2, Hoxc5, Scx, Sall1, Sox5をピックアップした。この一部をまず、ヒト培養細胞に遺伝子導入し、ネフリン、ポドシンの発現についてrealtime PCR法を用いて検討した。しかしながら、in vitroで培養することでこれらポドサイトマーカーはほとんど発現抑制されてしまうことが判明した。一方、高糖質条件やTgfbなどが一部のポドサイトマーカーの発現増加をもたらすことが判明した。これらのポドサイトマーカーの上昇は、条件因子の添加後24-28時間後と、比較的遅いタイムコースで認められた。引き続きどの転写因子セットにより、ポドサイト分化がもたらされるかを検討していく予定となっている
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