研究課題/領域番号 |
17K19645
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
田中 洋介 東京大学, 医科学研究所, 助教 (10509087)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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キーワード | midbody / 造血幹細胞 / 非対称分裂 |
研究実績の概要 |
MgcRacGAP(MRG)は細胞質分裂時に2つの娘細胞をつなぐ構造物であるmidbodyのマーカーである。本年度は、Cre-inducibleなMgcRacGAP-hmKO2マウスの作製・解析を中心に研究を行った。具体的には、5’UTRを含むMgcRacGAPとhmKuOの融合遺伝子をRosa26遺伝子座にSTOPカセット(loxP-Neo-Stop-loxP)と共にノックインし、Creによってその発現を誘導できるマウスを作製した。造血系特異的にMRG-hmKO2レポーターを発現させる目的で、造血系特異的にCreを発現するVav-Creマウスとの交配を行い、造血系特異的にMRG-hmKO2を発現するマウスを樹立した(以後、MRGレポーターマウスと呼ぶ)。マウスはメンデルの法則に従い出生し、成熟後も顕著な異常は認められず正常であったが、MRGレポーターマウスの骨髄におけるMRG-hmKO2の発現をフローサイトメーターで確認すると検出限界以下であった。次に、骨髄から造血幹細胞(CD150+CD48-cKit+Sca1+Lineage marker negative細胞)を採取し顕微鏡下でMRG-hmKO2の発現をタイムラプスライブセルイメージングにより観察したところ、一部の細胞でしか発現が確認できなかった。また、蛍光が非常に弱く残念ながらレポーターとしては失敗であることが判明した。次の対策として、マウスMRG遺伝子座にレポータータンパクを融合タンパクとして発現できるようにノックインしたマウスを作製することにした。現在、ターゲッティングベクターを作成中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
Cre-inducibleなMgcRacGAP-hmKO2マウスのMgcRacGAp-hmKuO融合タンパク質の発現が弱くレポーターとして機能しなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
現在、新しいレポーターマウス作製のための予備実験を行っている。具体的には、マウスMgcRacGAP遺伝子座にいくつかの蛍光タンパク質(mVenus, mCherryなど)を融合タンパクとして発現するようにノックインし、その蛍光強度が最大になるものを選定中。マウス作製期間中は、レトロウイルスベクターによりMgcRacGAP-hmKuOmを造血幹細胞に導入し、マウスに移植する移植モデルで実験を行う予定。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画していたレポーターマウスの作製に失敗したため、予定していた実験が先送りになった。また、新しいレポーターマウスの作製をおこなう必要が出てきたため。本年度は新しいレポーターマウス作製を研究費仕様の主な目的とする。新しいレポーターマウス作製後に、当初予定していた実験を行う。また、マウス作製期間中はMgcRacGAPレポーターをレトロウイルスにより導入した造血幹細胞を使って実験を進めていく予定である。
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