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2017 年度 実施状況報告書

3次元画像の人工知能解析による癌診断方法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 17K19646
研究機関東京大学

研究代表者

小野寺 宏  東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任教授 (20214207)

研究期間 (年度) 2017-06-30 – 2019-03-31
キーワード人工知能 / 癌診断 / 臓器透明化 / 3次元診断
研究実績の概要

29年度,人工知能解析用コンピュータを導入したが,人工知能用GPUの複数搭載により,効率的に人工知能の性能を評価できるようになった.2光子顕微鏡撮影が順調に稼働したため,癌診断のための予備実験を予定通り実施できた.29年度によいて画像クオリティーの最大の課題が長時間撮影による画像のブレであった.ステージを動かしつつ広範囲を撮影することになるため,頻回のステージ移動(撮影枚数分,場合によっては数万回)が必要である.このため,標本の微細なズレが積み重なって3D解析において大きな問題となった.しかし脱着可能な状態で標本プレパラートをステージに密着固定させることは容易でない.そこで,磁石を複数個搭載するプレパラート固定装置を製作した.さらに,プレパラート上での標本を固定するため,シリコンブロックに標本と同サイズの溝を掘って標本を封入した.これらの改良により,2光子顕微鏡のサンプル固定装置を改良し,長時間,多数の画像をブレずに再現性良く撮影可能となった(1サンプル当たり数万枚).さらに紫外領域の蛍光フィルターセットを変更するなど,光学系にも改良を加えた.その結果,臓器の基底膜(主にコラーゲン)のSHGシグナルの分離が飛躍的に向上し,癌の転移や浸潤など予後を大きく左右する基底膜浸潤に関する画像情報を無染色で観察できるようになった.蛍光シグナル分離性能の向上により,TPEF(自家蛍光)を用いた標的細胞の選択的検出精度も向上した.
今後,癌組織と正常組織の例数を増やし,人工知能による異常発見率の向上,異常部位の同定(segmentation)精度向上,アルゴリズム改良を図っていく.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

人工知能解析用コンピュータの性能向上,および2光子顕微鏡撮影が順調に稼働したため,癌診断のための予備実験を予定通り実施できた(おもに正常臓器の3次元構造解析).2光子顕微鏡のフィルターセットを変更するなど,光学系も改良することができた.その結果,臓器の基底膜(主にコラーゲン)のSHGシグナルの分離が飛躍的に向上し,癌の転移や浸潤など予後を大きく左右する基底膜浸潤に関する画像情報を無染色で観察できるようになった.今後,癌組織と正常組織とを用いて人工知能による異常発見率の向上,異常部位の同定(segmentation)精度向上,アルゴリズム改良を図っていく.
大量の画像スライスからストレスなく3次元画像を構築するためには,コンピュータの性能が重要である.幸い,複数のGPUを搭載するコンピュータを29年度に導入した結果,ほぼリアルタイムでの3D画像構築が可能となり,解析効率は著明に改善している.

今後の研究の推進方策

29年度,撮像が順調に進んだ結果,大量の正常ならびに腫瘍病変の画像が得られている.数十区画にもおよぶ大きな標本を1スタックに集約し正確に3次元描出するためには,区画ごとの歪を補正してスムーズに画像を連結する必要がある.場合によっては数十万枚の画像に達するため,専用のプログラム作成を余儀なくされる可能性がある.現在,数万枚までの画像から3D画像構築が可能になっており,30年度はさらに巨大な3d画像解析をめざしたい.
人工知能による癌解析については,畳み込みニューラルネットワークと他のアルゴリズム(例えばLSTM, 強化学習,GAN)を併用して癌見落とし率ゼロを目指すとともに,異常領域抽出(segmentation)にむけた研究も進めたい.

次年度使用額が生じた理由

人件費の次年度使用額が発生した.これは,画像解析プログラミングが可能な研究者の雇用が容易でなかったためである.幸い,年度途中から雇用することができた.

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公開日: 2018-12-17  

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