研究課題/領域番号 |
17K19655
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
江川 形平 京都大学, 医学研究科, 助教 (50511812)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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キーワード | リンパ管 / イメージング / T細胞 / 樹状細胞 |
研究実績の概要 |
本年度は様炎症モデル下でのリンパ管の観察を行った。前年度、蛍光標識抗体の皮内注射によるリンパ管の可視化法を確立したが、同手法は簡便であるもののリンパ管壁を可視化するため、リンパ管内部に入り込んだリンパ球の動態観察は難しい一面もあった。そこで本年度は、耳介先端側に蛍光標識デキストランを皮内投与し、近位側のリンパ管内にデキストランが流れ込むことで可視化する方法を新たに確立し、抗体による可視化法と並行して観察を行った。定常状態および接触皮膚炎の感作相、惹起相のそれぞれにおいてLangerin-GFPマウス(Langerhans細胞の可視化)、CD11c-YFPマウス(真皮樹状細胞の可視化)を用いた。定常状態では、真皮内浅層にランゲルハンス細胞はほとんど認めなかったが、真皮深層ではリンパ管内に散在している様子が観察された。定常状態ではリンパ管内のランゲルハンス細胞は6時間以上にわたってほとんど移動しないという予想外の所見が得られた。真皮樹状細胞は定常状態から真皮内に多数存在し、活発に動き回っているものの、リンパ管内への侵入は観察されなかった。また、ハプテン塗布後の感作相においてもその動態はほとんど変化しなかった。一方で惹起相においては、以前に我々が報告した通り、樹状細胞がクラスターを多数形成した。そのほとんどはリンパ節の外でのクラスター形成であったが、一部リンパ管の中でクラスターが形成される様子を観察した。このクラスターには樹状細胞だけではなく、リンパ球も集合しており、抗原提示が行われていることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度の後半にはリンパ管内の樹状細胞、T細胞のクラスター形成に干渉し、その生理学的役割について検討する予定であったが、当初考えていたよりもリンパ管内に形成されるクラスターの頻度が低いと考えられ、難航している。よりクラスター形成の多数認められるタイムコース、皮膚炎モデルについて検討を進める予定である。このため当初2年間で研究を完了させる予定であったが、1年間の延長を申請した。
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今後の研究の推進方策 |
接触皮膚炎以外の皮膚炎モデル(GVHDモデル、薬疹モデルなど)について、リンパ管と免疫細胞とのかかわりについて観察する。リンパ管内でのクラスター形成(抗原提示)が活発に行われているモデルが見いだされれば、阻害抗体や試薬などでそれに干渉し、比内におけるリンパ管内クラスター形成の役割について検討をおこなう。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初二年で完了予定であったが、研究期間を1年間延長したため。
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