研究課題/領域番号 |
17K19663
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
吉良 潤一 九州大学, 医学研究院, 教授 (40183305)
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研究分担者 |
山崎 亮 九州大学, 医学研究院, 准教授 (10467946)
渡邉 充 九州大学, 大学病院, 医員 (30748009)
篠田 紘司 九州大学, 医学研究院, 助教 (70747998) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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キーワード | 肥厚性硬膜炎 / 動物モデル / イルベサルタン |
研究実績の概要 |
肥厚性硬膜炎(Hypertrophic pachymeningitis, HP)は頭痛や脳神経麻痺、脊髄障害などをきたす原因不明の神経難病である。私達が2011年に行った全国調査では、HP患者においては抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連疾患が38%、IgG4関連疾患が12%を占めることが明らかとなったが、その原因や治療法についてはモデル動物がないため解析が行われていなかった。私たちは、最近ヒトIgG4関連疾患のモデル動物であるLAT(Y136F)マウスにおいて、硬膜の線維性肥厚が起こることに着目し、同モデルマウスの中枢神経組織を解析した。その結果、同マウスでは生後3週からMRIで髄膜の造影を認め、その後肥厚することが明らかとなった。肥厚した硬膜にはB細胞、T細胞、マクロファージ、好中球が集簇していた。また、TGF-β1とその受容体が肥厚硬膜で陽性となっていたことから、抗TGF-β1作用が報告されているイルベサルタンを連日経口投与したところ、硬膜の肥厚が完全に抑制された。これらの結果から、LAT(Y136F)マウスは肥厚性硬膜炎の新規モデルマウスであり、肥厚性硬膜炎の新規治療としてアンギオテンシンII受容体I型ブロッカーであるイルベサルタンが有用である可能性が強く示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
肥厚性硬膜炎動物モデルとしてのLAT(Y136F)マウスの病理組織学的解析はほぼ終了した。硬膜肥厚のメカニズムとしてTGF-β1の関与が強く示唆され、イルベサルタンによりブロックできた。しかしながら、TGF-β1の下流のシグナルであるSmad2/3の阻害薬(GW786980)による治療効果についてはいまだに明らかでない。
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今後の研究の推進方策 |
今後は上記のようにSmad2/3阻害薬のLATマウスに対する効果を検討する。また、LATマウス髄液におけるサイトカインプロファイルを解析し、炎症性機序の解明を行う。また、実際の患者髄液中のサイトカイン解析により、新規診断・治療マーカーの開発を目指す。
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