研究課題/領域番号 |
17K19675
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
鬼澤 道夫 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (30783352)
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研究分担者 |
渡辺 守 東京医科歯科大学, 高等研究院, 特別栄誉教授 (10175127)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2021-03-31
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キーワード | 大腸腫瘍 |
研究実績の概要 |
炎症性発癌は胃癌や肝臓癌など消化器悪性腫瘍の主要発症因子であり、潰瘍性大腸炎やクローン病においても、その長期罹患例の増加に伴い炎症性腸疾患合併大腸癌患者数の増加が憂慮されている。炎症性腸疾患合併大腸癌は、非炎症性である孤発性大腸癌とは組織学的にも分子病理学的にも異なることが知られているが、その発癌メカニズムの多くは不明である。また炎症性腸疾患合併大腸癌は比較的若年に多く、浸潤癌の比率が高く早期発見が困難であり、化学療法への反応不良症例が多いため、その予防法の開発・治療法の改善は急務の課題である。本研究にあたり細胞培養液中のアミノ酸組成を検討する際に、Dセリン(5-20mM)が濃度依存性に細胞増殖を抑制し細胞死を亢進させることを見出した。同濃度のLセリンには細胞数抑制効果を認めなかった。DセリンはN-methyl-D-aspartate型グルタミン酸受容体のコアゴニストとして知られており、その受容体アンタゴニストであるMK-801を併用したが、Dセリンの表現型はレスキューされなかった。また、培養液中のLグルタミン酸又はグリシンの存在の有無によっても、Dセリンの細胞数抑制効果に変化を認めなかった。しかし、Lセリン(20mM)をDセリンと同時に加えることにより細胞数抑制効果がレスキューされた。今後は、マウス炎症性腸疾患合併大腸腫瘍モデルに同物質を投与することで大腸腫瘍に対する予防・治療効果を明らかにするとともに、ユビキチン化の変化を中心とした細胞内メカニズムの検討を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
in vivoでの炎症性腸疾患合併大腸腫瘍の治療法の検討に至らなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
マウスモデルを用いた大腸腫瘍治療法の検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
計画当初に比べ試薬購入が廉価で可能であった。 次年度に実験を追加で予定したため、試薬購入や施設使用料が必要である。
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