研究課題/領域番号 |
17K19676
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山下 潤 京都大学, iPS細胞研究所, 教授 (50335288)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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キーワード | 再生医学 / 細胞・組織 / 循環器・高血圧 |
研究実績の概要 |
1)hiPS-CTSを用いたリエントリー型不整脈発生モデル:研究代表者は、ヒトiPS細胞から心臓を構成する細胞(心筋細胞、内皮細胞、壁細胞等)を誘導し、温度感受性培養皿(東京女子医大)を用いた細胞シート作製技術を用いて、それら細胞を含むhiPS-CTSの作製に成功している。この複数種細胞からなるミニ3D構造を持つ心臓組織が、より生体の心臓に近い反応を示しうる可能性を検討する。MEAが底面に配された培養皿においてhiPSC-CTSを培養する。(細胞外電位の測定)セルモーション解析システム(Sony Motion Vector)同時観察(2次元的細胞動態解析)上記をSony Motion Vectorに設置の培養チャンバー内で行いながら、QT延長誘導薬剤であるIkrブロッカーE4031を投与し、QT延長作用により誘発される薬剤性不整脈の発生及びリエントリーの発生を観測する。 2)hiPS-CTSを用いた致死性不整脈Torsade de Points(TdP)再現モデル:TdPは、心電図上で多形性の心室頻脈波形を示す。また2次元的細胞動態としては、回旋中心が移動するMeandering(さまよい)現象が認められるはずである。 実際にhiPS-CTSを作製しE4031を投与したところ、TdPの心電図波形に類似した細胞外電位波形とともに回旋中心のさまよい現象が認められた。これらの現象は心筋細胞のみでは認められず、心筋を含む複数種の細胞と3D構造が重要であり、心臓組織のミニ3D構造を再現することにより、致死性不整脈の発生そのものを再現できるようになることを明らかにした。本研究は世界で始めてTdPを再現しうるin vitroモデルを示したものであり、Nature Communication誌に掲載された(Kawatou,Nat Commun,2017)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
TdP発生モデルの作製に世界に先駆けて成功し、同成果をすでに論文として発表した。現在は、さらに多様な現象を再現できるin vitroモデルの作製へと研究を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
さらに新しいin vitroモデルの開発を進める。 3)hiPS-CTSを用いた心室細動誘発モデル:TdPは臨床上ではしばしば心室細動に移行する。TdPから心室細動への移行過程を再現しうるin vitroモデルの構築を目指す。 4)hiPS-CTS多重積層心臓組織を用いた心収縮力解析モデル(薬剤性心不全モデル):不整脈のみならず、心臓の力学的異常を検出するモデルを作製する。研究代表者はすでに、ゼラチンハイドロゲル微粒子(GHM)をCTS間に挿入することにより、簡便にCTSを多重積層化することに成功している。厚さ1mm弱の心臓組織を用いて張力を測定する ことにより、薬剤性の収縮力障害モデルを作製する。薬剤性心不全モデルとしての応用が期待される。
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次年度使用額が生じた理由 |
H29年度成果に加えてさらに新しいin vitroモデルの開発を進める。 3)hiPS-CTSを用いた心室細動誘発モデル:TdPは臨床上ではしばしば心室細動に移行する。TdPから心室細動への移行過程を再現しうるin vitroモデルの構築を目指す。 4)hiPS-CTS多重積層心臓組織を用いた心収縮力解析モデル(薬剤性心不全モデル):不整脈のみならず、心臓の力学的異常を検出するモデルを作製する。研究代表者はすでに、ゼラチンハイドロゲル微粒子(GHM)をCTS間に挿入することにより、簡便にCTSを多重積層化することに成功している。厚さ1mm弱の心臓組織を用いて張力を測定する ことにより、薬剤性の収縮力障害モデルを作製する。薬剤性心不全モデルとしての応用が期待される。
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