研究課題
化合物ライブラリーを用いた心筋リプログラミング促進化合物のスクリーニングを行う。方法として心筋誘導化合物のスクリーニングは、心筋リプログラミング因子を同定した時に使用したMHC-GFPトランスジェニックマウス線維芽細胞を用いて行った。マウス線維芽細胞から心筋細胞誘導を促進する化合物を同定するため、連携研究者の東京医科歯科大学の清水重臣教授から供与される8400種類の化合物ライブラリーを用いて網羅的にスクリーニングした。具体的には心筋細胞のみGFPを発現するMHC-GFPトランスジェニックマウスの線維芽細胞にGata4/Mef2c/Tbx5を遺伝子導入して、翌日から無血清培地に化合物を添加し、心筋レポーターの発現をCell image analyzerで測定した。ヒットした化合物に関しては4週後に拍動心筋の数を計測して、機能的に成熟した心筋細胞の誘導を定量的に計測する。これまでの実験で8400化合物をスクリーニングし、6化合物で心筋リプログラミングが顕著に改善することを見出した。次にヒット化合物を用いて得られる誘導心筋細胞を分子生物学的および生理機能的に解析して、真に機能的な心筋細胞を誘導する化合物を選定した。これまでの実験で化合物を用いて誘導した心筋細胞で、様々な心筋特異的遺伝子の発現や横紋筋構造の形成をQRT-PCRや免疫染色で確認した。さらにその他の心筋蛋白の発現や心筋特異的蛋白の発現をFACSで定量的に解析した。心筋に特徴的な生理機能として細胞内カルシウム濃度の変化をRhod-3を用いて解析、活動電位の測定など詳細な生理機能の解析を行い、血清培地で誘導した心筋細胞と比較した。これまでに真に生理機能を有する心筋細胞の作製に成功している。
2: おおむね順調に進展している
心筋リプログラミング促進化合物のスクリーニングシステムの構築に成功した。さらにこれまでの実験で8400化合物をスクリーニングし、6化合物で心筋リプログラミングが顕著に改善することを見出した。
今後は化合物による心筋リプログラミング促進の分子機構解明や臨床につながるヒト細胞での検討を行っていく。
理由心筋誘導化合物のスクリーニングで複数の新規心筋誘導化合物の同定に成功した。そのため、それぞれの機能を測定するため、来年度は新規心筋誘導化合物で作製した心筋細胞の遺伝子発現プロファイル、生理的機能の検討などを行う。使用計画心筋リプログラミングを促進する新規心筋誘導化合物を同定する検討を行った。その結果、複数の新規心筋誘導化合物を同定した。そのためこれら新規心筋誘導化合物が心筋リプログラミングに関与するか検討するため、マイクロアレイ解析や生理的機能解析を追加で行う。
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