研究課題/領域番号 |
17K19679
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
藤原 裕展 国立研究開発法人理化学研究所, 多細胞システム形成研究センター, チームリーダー (20615744)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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キーワード | 皮膚発生 / ライブイメージング |
研究実績の概要 |
細胞の動態と分化状態をモニターできる2色の蛍光タンパク質を組み込んだ遺伝子改変マウスを作製した。そこから胎生13日のマウス胎仔毛包を取り出し、2光子顕微鏡下で48時間の4次元イメージングを実施した。取得イメージを解析した結果、細胞動態のトラッキングと分化状態の変化がリアルタイムで、高い時空間的な解像度で追跡できることを確認した。次に、細胞の系譜や運命決定様式を直感的に理解するため、組織内における細胞の番地を作成し、それにイメージングで得られた細胞の位置情報をリンクさせた。表皮前駆細胞から7種類の分化細胞が生み出される毛芽領域の細胞動態、系譜、細胞分裂回数を詳細に記録したところ、表皮前駆細胞の組織内での配置によって、娘細胞の移動速度、細胞分裂の回数が大きく異なることが明らかとなった。また、娘細胞の細胞系譜についても、前駆細胞の毛包内での位置によって、娘細胞の系譜が厳密に確定しているものと、確定しておらず、他の系譜にも寄与するものがあることが分かった。現在、組織内番地を用いた細胞挙動の計測データを解析することで、各分化細胞層を生み出す細胞の供給源、系譜、移動、分化系譜の分岐点を明らかにしようとしている。また、数理モデルを構築するために、画像上のピクセル位置と時間情報から、細胞の時空間的な位置情報を数値データとして得るための作業を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
細胞動態と分化状態の追跡が可能なイメージング動物と撮像条件が決まり、細胞トラッキングによる定量データが産出されているため。数理モデルの構築に必要な定量データが得られつつある。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、追跡する表皮細胞数を増やすとともに、間充織細胞のトラッキングを開始する。細胞動態に関する十分なデータが揃ったところで、連携研究者の長山と共同で、数理モデルの構築に着手する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究が予想以上に効率的に進んだため、使用予定の物品費を節約することができた。次年度の研究を更に発展させるために、余剰分は次年度へ繰り越して使用することとした。
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