2019 年度研究成果報告書

腎臓の赤血球増殖因子産生細胞における血圧調節系と造血制御系のクロストーク

研究課題

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研究課題/領域番号	17K19680
研究種目	挑戦的研究(萌芽)
配分区分	基金
研究分野	生体情報内科学およびその関連分野
研究機関	東北大学
研究代表者	鈴木教郎東北大学, 医学系研究科, 准教授 (20447254)
研究期間 (年度)	2017-06-30 – 2020-03-31
キーワード	貧血 / 遺伝子改変マウス / エリスロポエチン / 腎臓病 / 高血圧
研究成果の概要	貧血患者および貧血モデル動物において、赤血球濃度と血圧が正の相関関係にあることを見出した。次に、マウス実験から、貧血時には昇圧因子レニンが腎臓の尿細管間質で産生誘導されることを発見した。レニン産生を誘導する細胞は尿細管間質線維芽細胞であり、その一部は貧血時に赤血球造血因子エリスロポエチンとレニンを同時に産生していた。レニンの産生部位としては傍糸球体細胞が知られていたが、本研究により新たなレニン産生細胞として尿細管間質線維芽細胞が同定された。また、尿細管間質細胞は貧血時の赤血球減少と血圧低下に対して、エリスロポエチンとレニンの双方を分泌することにより対応する重要な細胞であることが示された。
自由記述の分野	分子生物学
研究成果の学術的意義や社会的意義	レニンは血圧を制御する主要な因子であり、腎臓の傍糸球体細胞から分泌されることが多くの教科書に記載されている。本研究では、新たなレニン産生細胞として、尿細管間質線維芽細胞を同定した。また、数が限られている傍糸球体細胞によるレニン産生を補うために、血圧低下時に尿細管間質線維芽細胞がレニンを産生することを提唱した。さらに、赤血球造血因子EPOとレニンを同時に産生する尿細管間質線維芽細胞の重要な役割を解明した。非常に多くの女性が加齢とともに貧血を患うが、本研究の成果は加齢性の貧血による血圧低下の機序の一端を明らかにした。