研究課題
BCR-ABL発現白血病幹細胞(LIC)を接種することで、慢性骨髄性白血病(CML)を発症させたマウスに対して、X線照射・骨髄移植を行うと、レシピエント由来の白血病細胞が消失し、血球系細胞がドナー由来の血球系細胞に置換された。しかし、その後Pseudo-Pelger Huet細胞様の顆粒球の出現とともに、重篤な貧血を呈する骨髄異形成症候群を発症し、死に至る、いわゆるドナー細胞由来白血病(DCL)に類似した病態が発症した。この病態モデルを解析したところ、レシピエントCML細胞由来の細胞外小胞がBCR-ABL遺伝子を始めとした、二本鎖DNAを大量に含有していることを見出した。さらに、これらの細胞外小胞を介して、ドナー細胞にレシピエント細胞由来の二本鎖DNAが水平伝播することも見出した。STING経路を介して、二本鎖DNAを認識することで、インターフェロン経路が活性化される結果、ドナー由来の造血幹細胞のvitroでの複製能が低下した。さらに、CML発症マウスに対して、X線照射後に、STING欠損マウス由来の骨髄細胞を移植しても、DCL様の病態の出現が認められなかった。以上の結果から、CML細胞由来の細胞外小胞がSTING経路を介して、ドナー由来の骨髄幹細胞に対して抑制的に作用することによって、DCLが発症する可能性が強く示唆されることから、STING経路の抑制によってDCL発症が予防できる可能性も示唆された。
すべて 2018
すべて 雑誌論文 (9件) (うち国際共著 2件、 査読あり 9件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
The Journal of Immunology
巻: 200 ページ: 1839~1852
10.4049/jimmunol.1700544
Molecular Cancer Therapeutics
巻: 17 ページ: 1515~1525
10.1158/1535-7163.MCT-17-0845
Cytokine
巻: 103 ページ: 133~141
10.1016/j.cyto.2017.09.020
Journal of the American Heart Association
巻: 7 ページ: e008145
10.1161/JAHA.117.008145
Pharmacological Research
巻: 134 ページ: 238~245
10.1016/j.phrs.2018.07.003
PLOS ONE
巻: 13 ページ: e0207085
10.1371/journal.pone.0207085
Arteriosclerosis, Thrombosis, and Vascular Biology
巻: 38 ページ: 2638~2650
10.1161/ATVBAHA.118.311194
World Journal of Gastroenterology
巻: 24 ページ: 1839~1858
10.3748/wjg.v24.i17.1839
International Journal of Molecular Sciences
巻: 20 ページ: 116~116
10.3390/ijms20010116