研究課題
1.遺伝子改変マウス胎仔脳の神経細胞の発生・移動の解析:KCC2のThr906とThr1007のglutamateに置換した疑似リン酸化変異マウス胎仔での神経細胞の発生・移動をAlexa-EdUによる細胞分裂アッセイを用い野生型と比較した。スパイン形成は正常に認められたが、中隔、視床下部、海馬、大脳皮質の神経分布に異常がみられた。よって、胎仔期にKCC2のThr906とThr1007のリン酸化が適切に抑制されることが、神経細胞の発生・移動に重要であることが示唆された。出生前ストレスを受けたGAD67遺伝子ヘテロ欠損胎仔の網羅的DNAメチル化と遺伝子発現解析を行った結果、因果関係が疑われる遺伝子群が神経発生・分化・行動と関連することが明らかとなり、そのうちいくつかの遺伝子発現変化をRT-PCRで確認した。2.母体低栄養/胎仔視床下部GABA-Clシステム変調モデルの解析:60%食餌制限を10日間行うと、AgRPニューロンでc-fosの発現がみられ、コルチコステロンの上昇が認められたが、CRHニューロンの細胞体ではc-fosの発現はみられず、CRHニューロン細胞体は興奮しないことが確認できた。一方、30分間の拘束ストレスではCRHニューロンの細胞体でc-fosの発現がみられた。母体低栄養の胎仔視床下部CRHニューロンでも、KCC2やVGATが変化する傾向を確認した。出生前ストレスを受けたGAD67遺伝子ヘテロ欠損胎仔ではPV陽性GABA細胞の発生が減少する。このモデルの生後8週齢で社会的行動、認知機能、感覚運動系機能の低下を認めた。さらに、脳波を記録してγ帯成分をパワースペクトラムで解析したところ、有意な減少を示した。以上から、精神疾患病態フェノタイプとの類似性を確認できた。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (26件) (うち国際学会 10件、 招待講演 5件) 備考 (1件)
Brain Research
巻: 1710 ページ: 1~7
10.1016/j.brainres.2018.12.025
Frontiers in Cellular Neuroscience
巻: 12 ページ: 284
10.3389/fncel.2018.00284
http://www.hama-med.ac.jp/uni_education_igakubu_igaku_seiri1.html