研究課題
脳腫瘍の中でも頻度が高い下垂体腫瘍では、薬剤抵抗性を示す腫瘍もしばしば見られる。そのような場合には再手術や放射線療法が行われるが、視床下部症候群や下垂体機能低下症など深刻な合併症が高頻度に生じる。このような薬剤抵抗性腫瘍に対する創薬は喫緊の課題であるが、得られる腫瘍サンプル量が限られていること、適切なin vitroモデルが存在しないことが大きな障害になっている。本研究ではオルガノイド培養の手法を用いて下垂体腫瘍モデルを作成し、その病因・病態解明、ハイスループットスクリーニングによる創薬、そして個々の腫瘍特性に合わせたテーラーメード治療を目指すことを目的として研究を行なった。方法として1)対象腫瘍および症例の選定、2)オルガノイド培養条件の最適化、3)腫瘍を用いたオルガノイド培養とオルガノイド細胞株の樹立、4)腫瘍組織およびオルガノイド細胞株を用いた病因の解析、4)オルガノイド細胞株を用いたin vitro低分子化合物スクリーニングを行なった。具体的にはGH産生腫瘍52例、ACTH産生腫瘍12例、非機能性腫瘍3例、頭蓋咽頭腫2例よりWntを含む種々の増殖因子を加えた培養液にて三次元培養を行い、細胞株の樹立を試みた。同時にすでに細胞株として樹立されているが、元の腫瘍の性質が十分保持されていないAtT20細胞を用いて三次元培養による形質の回復が得られないかどうかを解析した。これまでに、通常の初代培養系では2週間以上のホルモン分泌能の維持が困難であるところを1ヶ月の増殖および3ヶ月のホルモン分泌能の維持が可能になった。またAtT20細胞の三次元培養系では形質の回復と薬剤反応性がみられ、創薬を目指したスクリーニング系の樹立が可能になった。現在さらにプロトコールを改善することにより、実用性の高いオルガノイド樹立を目指している。
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