研究課題
本研究の目的は、臨床症状や病理形態に基づいた現在の難病診断を、正確な分子機序に基づいた分子標的治療に直結した新規の診断カテゴリーの創設へと再編成することである。そのためにまず『インフラマソーム病』を定義する。無細胞タンパク質再構成系による無細胞インフラマソームの作製とアルツハイマー病のアミロイドβや2型糖尿病のアミリンなどのアミロイドとの複合体を作製した。具体的にはAIM2インフラマソーム、NLRP3インフラマソーム、Pyrinインフラマソーム、NLRP1インフラマソーム、NLRC4インフラマソーム、Nod2ノッドソームを含む複合体を作製した。アルツハイマー病の原因となっているアミロイドβ(Aβ)や2型糖尿病の原因となっているアミリンとインフラマソームとの複合体については、モノマー、フィブリル、ポリマーに分画し、コムギ胚芽無細胞タンパク質合成系を用いて無細胞インフラマソーム複合体の再構成を行った。一部の成果について、国内学会で発表を行った。また、アミリンとNLRP3インフラマソームの関係、アミロイドβ(Aβ)とNLRP3インフラマソームの関係について論文を投稿中である。現在、インフラマソーム病を定義するためのプローブ作製を行なっている。具体的には、上記の複合体をマウスに免疫し、それぞれのインフラマソーム複合体を認識するモノクローナル抗体の作製を行っている。この間、国内外で新たに学会発表や専門誌で発表された研究計画にはないインフラマソームについても無細胞インフラマソーム複合体と複合体に対する抗体作製を行ってきた。
2: おおむね順調に進展している
当初の研究計画どおり、無細胞インフラマソーム複合体作製と抗体作製が順調に進んでいるため。
抗体の特異性の確認と臨床症例での解析を行っていく。
同一年度に複数の科研費の助成を受けることができたので、コムギ胚芽無細胞タンパク質合成にかかる費用と消耗品にかかる費用を節約することができたため、次年度使用額が生じた。本年度は、このアドバンテージを最大限に活用し、次年度使用額を、当初の計画では費用的に計画できなかった病態モデル(動物モデル)の作製と、診断プローブの陽性シグナルが生体でのインフラマソーム活性化状態を反映したものであるかどうかを確認する実験の費用に当てる計画である。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件)
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