研究課題
(1)インスリン転写を体外から非侵襲にモニター可能なスクリーニング系の確立:生体発光を用いて非侵襲的に繰り返し検出し、定量可能なスクリーニング系を構築した。これまでにマウスインスリン1プロモーター下にルシフェラーゼ遺伝子が誘導されるレポーターマウス(MIP-Lucマウス)を作製したが、このマウスに代表的なβ細胞関連転写因子の3つを遺伝子導入したところ、強力にインスリン転写を誘導可能なことを確認した。(2)スクリーニング系を応用したβ細胞変換因子の網羅的解析:上記3遺伝子をレポーターマウスの肝臓に導入したところ、インスリン発現は一過性で、誘導後数週間で肝臓細胞に戻った。また、明らかなグルコース応答性を認めなかったため、この2つの問題点を克服し、更なる効率的なダイレクトリプログラミングを誘導するために、MIP-GFPマウスの肝臓に、上記3遺伝子を導入し、導入後1週、2週で、肝GFP陽性細胞のマイクロアレイ解析を行い、Q-PCRで確認を行った。いくつかの新たなリプログラミング因子の候補を同定し、その発現アデノウイルスを作製し、先の3遺伝子とともにMIP-Lucマウスに導入したところ、Isl1遺伝子が、有意にインスリン転写を促進することが明らかとなった。またSTZ糖尿病モデルに対しても、Ins1遺伝子導入による有意な血糖値改善効果が認められた。一方で、インスリン分泌の期間については明らかな改善を認めず、ex vivoにおけるグルコース応答性獲得は得られなかった。(3)ヒトへの応用:ヒト肝臓細胞を持つキメラマウスに対して、これらβ細胞変換因子を導入したところ、ヒトインスリン遺伝子発現を認め、ヒト糖尿病治療への応用可能性を得た。(4)レスベラトロール配糖体であるポリダチンが、酸化ストレスよるβ細胞死に対して抑制効果を有することを見出した。
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Biomedicine & Pharmacotherapy
巻: 133 ページ: 111027~111027
10.1016/j.biopha.2020.111027