研究課題
本研究は腫瘍に浸潤した細胞障害性T細胞がどのようながん抗原を認識するT細胞レセプター(TCR)を有するか、TCRの配列決定、同定ならびに探索することを目的とする。TCRはa鎖とb鎖、あるいはg鎖とd鎖の二量体から構成され、前者の組み合わせからなるTCRをabTCR、後者の組み合わせからなるTCRをgdTCRと呼び、それぞれのTCRを持つT細胞はabT細胞、gdT細胞と呼ばれる。本研究においてabT細胞のa鎖とb鎖の塩基配列を決定する。a鎖とb鎖の組み合わせにより、一つの抗原を認識することから、1細胞のT細胞のa鎖とb鎖の塩基配列を決定しなければならない。腫瘍に浸潤したT細胞は十分量単離することが可能であるが、T細胞を1細胞にクローニングしなければならない。理論上、FACS sortingにより1細胞にクローニングが可能であり、1細胞からa鎖とb鎖の塩基配列を決定することは可能であるが、1細胞から確実にDNAを抽出、塩基配列決定することは困難である。そこで、T細胞から、確実にa鎖とb鎖の塩基配列を決定するために、単離したT細胞に山中因子を導入しiPS細胞化する。クローニングしたiPS細胞化したT細胞からa鎖とb鎖の塩基配列を決定する。iPS細胞化によりクローニングならびに塩基配列決定は非常に簡便化できる。本研究において、マウス腫瘍に浸潤した細胞障害性T細胞に山中因子(Oct4、Sox2、Klf4、c-Myc)を導入し、TCRからの刺激なしで無限増殖する細胞を得た。T細胞はTCRからの刺激がない状態で増殖することが出来ないことから、iPS細胞を樹立したと判断した。また、ボランティアから得たヒト末梢細胞障害性T細胞に山中因子OCT3/4、SOX2、KLF4、LIN28、NANOG遺伝子を1ベクターに搭載したpDON-5 DNAを用いてiPS細胞の樹立に成功した。
すべて 2018 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 1件) 備考 (1件)
BMC Cancer
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