現行の生殖研究は、卵子・精子の質やiPS細胞から生殖細胞の作出など、配偶子側からの解析が中心であるが、配偶子から個体を得るには、胎児発生の場としての母体の機能を細胞レベルで明らかにする必要がある。妊娠期には、母体の代謝機能が大きく変化する。肝臓は代謝機能を担う第一の臓器であるため、妊娠期における肝蔵の細胞ダイナミクスの解明は、安心・安全な妊娠・出産の実現に重要である。本研究により、肝細胞・胆管上皮細胞が妊娠期に増殖亢進することが明らかとなった。今後、この増殖亢進を担う遺伝子やシグナル伝達を明らかにすることにより、妊娠における代謝機能の変化を細胞・遺伝子レベルで解明することができる。
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