研究課題/領域番号 |
17K19710
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
館 正弘 東北大学, 医学系研究科, 教授 (50312004)
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研究分担者 |
菅野 恵美 東北大学, 医学系研究科, 講師 (10431595)
丹野 寛大 東北大学, 医学系研究科, 助教 (10755664)
高木 尚之 東北大学, 医学系研究科, 助教 (30569471)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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キーワード | 糖尿病性足壊疽 / 好中球 / NETs |
研究実績の概要 |
長年、糖尿病患者の易感染性が問題となっている。糖尿病性(diabetes mellitus; DM)足壊疽では、軽微な外傷から感染により蜂窩織炎や壊死性筋膜炎を発症し、広範囲の足壊疽から時には大切断に至る。DM 足壊疽における易感染性はよく知られており好中球の機能異常がその要因の一つとされているが、詳細なメカニズムは不明であり、好中球に対する治療方法もみられない。本年度は、好中球機能異常としてNETosisに注目し、その誘導機序とNETosisへの好中球エラスターゼの関与に注目した。 α-マンナンによるDectin-2刺激が創傷治癒とNETosis形成に与える影響について、野生型マウス(C57BL/6)を用いて解析した。マウスの創部にα-マンナンを投与し、創閉鎖率とNETosis形成について解析を行った。 その結果、α-マンナンの投与によって、創閉鎖率の有意な低下、創部への好中球集積の増加を認めた。また、NETosisの増加及び好中球エラスターゼ活性の増加を認めた、好中球エラスターゼ阻害剤の投与により、遅延した治癒が回復した。さらに、α-マンナン投与による創閉鎖率の有意な低下、NETosisの形成は、Dectin-2遺伝子欠損マウスでは消失していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度はNETosis形成へのDectin-2受容体の関与、好中球エラスターゼ阻害によるNETosisの阻害を明らかにすることができた。 今後、糖尿病マウスにおける解析や他のCLRsであるDectin-1との関連やToll様受容体とのクロストークなどの解析が必要であるが、順調な進捗状況であると考える。
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今後の研究の推進方策 |
創傷治癒過程において、NETosis誘導へのDectin-2および好中球エラスターゼの関与が明らかになったことから、今後は糖尿病マウスの創部においても同様の反応が起きているのか、またDectin-1やToll様受容体とのクロストークについて詳細な機序解析を予定している。
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