ヒト発生において血液細胞や血管の発生は胎芽本体よりも早い時期から初期絨毛間質内で開始されており、胎芽期の絨毛間質由来の幹細胞が循環系を通して胎児の体内に移行し、生着している可能性がある。そこで本研究は「絨毛由来の幹細胞が胎児本体へ移行し、発生、発達過程での臓器構築に役割を果たすのみならず、成人に至った後も臓器の修復・再生に貢献している」との新しい仮説を立てた。 その結果、妊娠時に血中のlaeverin陽性細胞が増加することが観察された。また絨毛組織内に新しい血球細胞のnicheの部位が同定された。本研究の成果によって胎児体内循環幹細胞の同定と絨毛内nicheの解析が推進されることとなった。
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